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MA導入・運用のための全タスク徹底紹介!導入支援のプロがローンチ後に困らないための重要TIPSを公開

 マーケティングオートメーションの導入で失敗しないためには、導入・運用プロセスを事前に把握し、シミュレーションを行っておくことが重要だ。本記事では、7月13日にチーターデジタルが開催した「Marketing Forward 2017 Summer〜マーケティングオートメーション活用最前線〜」での講演「マーケティングオートメーション導入・運用の実態 導入前に知っておきたい導入企業がすべき全業務を事例を基に徹底網羅」の模様をお届けする。

MA導入は、具体的プロセスを知ることが成功への第一歩

 マーケティングオートメーション(以下、MA)ツール「CCMP」を展開しているチーターデジタルの是枝達彦氏は、流通小売をメインに、旅行、不動産、人材、エンタメ、メーカーなど、様々な業界のクライアントを担当している。本講演において是枝氏は、企業がMAツール導入時にどういったプロセスを踏み、その際にどういったポイントに注意すべきか、事例を紹介しながら解説した。

チーターデジタル株式会社 クロスチャネルマーケティング部 ソリューション営業 マネージャー 是枝達彦氏
チーターデジタル株式会社 クロスチャネルマーケティング部 ソリューション営業 マネージャー 是枝達彦氏

 是枝氏は、MAツールを活用するには導入と運用の2つのプロセスがあり、導入時には「要件定義」や「環境構築」、「データ連携」、「担当者のトレーニング」などと様々なフェーズがあると説明する。

 「各フェーズにおいて、複数のタスクが発生します。たとえば『導入』プロセスにおける、『要件定義』であれば、まず『ビジネス要件定義』を行い、どういったデータが必要でどう連携するかの『データ要件定義』、そして「いつ、誰に、どのタイミングで、どんな件名のコンテンツを送るのか」といった『シナリオの作成』が必要です」(是枝氏)

 「プロジェクトをスムーズに進めるためには、MAベンダーとこうした様々なプロセスを一緒にクリアしていく必要があります。そこで、導入企業の担当者には、『社内外のステークホルダーを束ねられるか』や、なんとか導入にこぎつけたとしても、『導入後に上手く社内で運用していけるか』という難関が立ちはだかります」(是枝氏)

MAを上手く導入するための3つのポイント

 こうした課題に対し是枝氏はまず、社内外のステークホルダーをまとめあげてMA導入を成し遂げるために重要なポイントを3点紹介した。

  1. 導入の目的、必要なスキル、リソースを明確化
  2. MAベンダーからどんなサポートを受けられるか、把握しておく
  3. 外部ステークホルダーを極力集約する

 以下、ポイントを一つずつ見ていこう。

ポイント1:導入の目的、必要なスキル、リソースを明確化

 MAを導入するには、まず「目的」を明確化すべきだと是枝氏は続ける。なぜなら、MAに求める役割がはっきりし、要件定義にブレがなくなるからだ。

 「お客様によっては、『MA導入の目的を、直近の購買データやお客様の属性データを活用してレコメンドメールを送ること』などに設定していることがあります。しかし、レコメンドメールの配信は目的ではなく手段です。目的とは手段によって目指すものであり、具体的には顧客と長期的な関係を構築したいとか、あるいはLTVを向上させたいといったものです」(是枝氏)

 目的がはっきりすれば、MAによってデータを一元管理するにあたって、どんなデータ要素が必要になるのか、複数のコミュニケーションチャネルを使う必要があるのかなどといった重要事項が段階的に定義されてくる。

 「チーターデジタルの場合、要件定義の前には必ずキックオフミーティングを持ち、『どんな目的でこのプロジェクトを行うのか』について共通認識が持てるよう交通整理を試みます」(是枝氏)

 さらに是枝氏は、MA導入自体がプロジェクトの目的になってしまっている失敗事例を紹介した。既存のツールが老朽化したため、とにかく新しいツールとしてMAを採用するという方針だけが決まっていて、導入が進んでしまったのだという。

 導入後はできるだけ実施ハードルが低い簡単な施策から進めたいと考えていたものの、データを管理している部署がバラバラのため必要なデータが集まらずメール配信が滞ってしまったり、部署ごとにやりたいことがバラバラで優先順位をつけることができなかったり、KPIを設定しないために施策の効果が測定できなかったりし、結局このプロジェクトは暗礁に乗り上げてしまったという。

 マーケターは、MAの導入はゴールではなく、目的達成のための手段であるということを肝に銘じる必要がありそうだ。

 目的が明確になったら、その達成のために必要となるスキルやリソースを具体的にイメージしておくことも重要だ。

 「たとえば、キャンペーン実施後に施策を最適化させるフェーズでは、自社の効果検証能力が必要となります。効果検証のためのリソースが不足しているなら、効果検証を支援してくれるMAベンダーを選定しなければなりません」(是枝氏)

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ポイント2:MAベンダーからどんなサポートを受けられるか、把握しておく

 次のポイントは、MAベンダーがどのようなサポートメニューをそろえているのか、事前に確認することだ。

 「従来のMAベンダーでは、環境構築やデータ連携のフェーズにおいて、基本的にシステム側で決められたパッケージに基づいて実装します。よって、お客様がもともと持っているデータの形式がそのまま使えず、お客様側で改修を加えなければならなかったりします」(是枝氏)

 また、その後のトレーニングも、eラーニングのような汎用的な形で提供されることも多い。マーケターはシステムにあわせていくうちに、MA導入という手段が目的になってしまう。

 一方、チーターデジタルは、基本的に導入企業が持っているデータ形式に、CCMP側の設定をチューニングすることでスムーズなデータ取り込みや連携が行える。

 また、導入企業によってやりたい施策や使いたい機能は千差万別なので、汎用的なトレーニングは実施せず、導入企業の要望や参加者のスキルレベルにあわせた形のトレーニングをオーダーメードで提供する。

 さらに運用フェーズでも、一般的なMAベンダーは有償支援が多く、無料でもサポート対応時間に制限がある場合が多い。そうなると、「この機能はどう使うのか」「この設定で合っているか」といったちょっとした問い合わせがしづらくなり、結果ツールを活用しきれなくなってしまうという。

 「チーターデジタルは、導入時・運用時におけるサポートはすべて無償で提供しています。さらに、小さなお問い合わせだけでなく、より高度なことをスピーディーに進めたいという状況でも、社内にプロフェッショナルサービスとしてコンサルティングやクリエイティブ制作、運用代行の専門チームを用意しており、それらを包括的なサービスとして提供することもできます」(是枝氏)

ポイント3:外部ステークホルダーを極力集約する

 一般的なベンダーの場合は、ツール提供と導入プロセス、そして運用のプロセスにおいて、それぞれ支援する会社が分かれるケースも少なくない。複数のプレーヤーが登場することでコミュニケーションコストが増大することのマイナス面については意識しておいたほうがいいだろう。チーターデジタルであれば、ツールの導入から運用まで1社で支援を受けられるようになっている。

MA運用を加速させる2つのポイント

 MA導入時のポイントに続き是枝氏は、同社が実際にクライアントのMA運用を成功させるために支援している2つのポイントについて、事例を交えながら紹介した。

  1. 多角的な視点での施策実施提案
  2. 実際の運用を加味した要件定義

ポイント1:多角的な視点での施策実施提案

 是枝氏が例として挙げたのは、ECと実店舗を展開するアパレル企業だ。ユーザーがブランドや商品をお気に入り登録しておくと、買い忘れ通知メールを送ったり、値下げ時や在庫が少なくなった時にお知らせメールを送ったりする施策を実施してきた。それぞれの施策は高い効果があるが、さらに効果を最大化するためにはどうすればいいのかというのが課題だった。

 既存施策の改善の場合、普通であればクリエイティブや配信のタイミングを調整したり、別のチャネルで配信したりするが、チーターデジタルはまるで別の観点での提案をしたという。

 「既存の施策に対してはまったく手を入れず、新たな施策を一つご提案しました。それは『お気に入り登録をもっとしませんか』というシンプルな内容の促進メールです。高い効果が出ている施策にテコ入れしたところで出てくるビジネスインパクトは微々たるもの。であれば、そこに誘導する母数を増やすほうが、短期的に売上が上がりやすいだろうと予想したのです」(是枝氏)

 チーターデジタルの狙いは的中し、全体の売上向上が実現した。ビジネス要件定義からクライアントとともにプロジェクトを進めてきたので、本来達成したい「全体の売上向上」という目的を多角的に分析した施策提案ができたのである。

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ポイント2:実際の運用を加味した要件定義

 次に紹介したのは、ECモールを展開するアパレル企業の事例だ。新しいマーケティングツールを導入すると機能や仕様に対する理解が属人化してしまうことを課題としていた。

 チーターデジタルがサポートを始めたところ、このクライアントが送っているHTMLメールのソースに、それを制作した担当者以外の人が見た時に極めてわかりづらい、画像の差し込み箇所があることを発見した。

 「クライアントは、この差し込みパーツを活用して、受信者ごとに表示するコンテンツを変えていくという想定でした。しかし、HTMLソースの制作担当者と実際の施策運用担当者が別だったため、運用担当者はこのソースを見ても、どこがどの画像を指しているのかがわからず、施策を打つ時に読み解く必要がありました。これでは設定に時間がかかってしまうと我々は考えました」(是枝氏)

 そこでチーターデジタルは、ソースのどこがどの差し込み箇所に対応するのかがわかるよう、HTML上でコメントをつけておくよう提案した。結果、設定時間を大幅に短縮することができ、ツール運用に詳しくないアルバイト従業員でも配信設定ができるようになったという。

 「ゴールは導入ではなく、あくまで運用です。そのためにどう設定すべきかこだわり抜く我々だからこそ、ご提案できたことです」(是枝氏)

ローンチ後も頼もしいプロフェッショナルサービス

 さらにチーターデジタルではMAツールのローンチ後も、施策立案や効果測定、クリエイティブ制作、設定や運用の代行など、手厚くサポートするプロフェッショナルサービスを用意している。

 一例として、是枝氏はピーチ・ジョン社へクリエイティブ制作サービスを提供したケースを紹介した。本件ではクリエイティブの制作にとどまらず、マルチデバイス対応までサポートしたという。

 「きっかけは、送ったメールを顧客が何秒間読んでいるのかがわかる当社の“開封エンゲージメントサービス”をご利用いただいたことでした。メールをすぐ削除する率が、スマホはPCの3倍もあることがわかったのです。

 ピーチ・ジョン様の配信メールでは、クリエイティブがPC向けに作られているため、スマホでは見づらく離脱してしまうということが考えられました。そこで、画像を大きくしたり、屋外で見てもわかりやすいよう色のコントラストをはっきりさせたりなど、クリエイティブの制作サービスで改善しました」(是枝氏)

 こうした取り組みの結果、クリックは1.7倍、売り上げは1.3倍になったという。

 プロフェッショナルサービスは、効果検証を前提とした実施施策のリニューアル設計も得意としており、PDCAプロセスの基盤づくりから支援するところに特徴がありそうだ。

 最後に是枝氏は、まとめとして本講演で紹介したポイントをおさらいし講演を締めくくった。

  • MAの導入においては、多くの業務が発生する
  • 導入の目的を明確化させることが、ファーストステップである
  • 導入目的達成のために必要なスキル・リソースを把握する
  • 自社に合ったMAベンダーを採用する
  • 導入後も一貫したサポートを受けられるか、あらかじめ把握する

 MAの導入・運用は多くのタスクを含んでおり、事業会社がすべてを自力でクリアするのは難しい場合もある。だからこそ、自社に合ったサポートが受けられるMAベンダーを選定することが、成功への第一歩といえそうだ。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/20 13:49 https://markezine.jp/article/detail/27003