駅メディアのイメージと接触後の行動
次に、普段見ている広告について、そのイメージを確認した(図表3)。

「駅にあるポスター・看板」のイメージは「自然と目に入る/耳に入る」が強く、また、「参考になる」「商品の情報を得られる」「興味がわく」「おもしろい」という点ではマス4媒体より弱く、意識的に見られているわけではないことがわかる。この傾向は、同メディアの閲覧率が高い10代〜20代の女性においても同様であった。
「駅にあるポスター・看板」が意識的に見られていない状況は、実際の行動からも確認ができる(図表4)。

駅メディアの閲覧率を種類別に確認すると、自動改札に貼られている「自動改札ステッカー」、駅の床面にある「フロア広告」「エスカレーターの手すり」を除き、いずれの媒体も5割近くの閲覧率である。特に10代においては、「駅内の紙の広告(ポスター・看板)」の接触率が8割を上回る。しかし、接触後の行動について見ると、各駅メディアの接触者のうち半数以上が広告を“見かけただけ”に留まっており、読むことすらしていない様子だ。こちらは駅メディアの種類問わず、年代問わず、同様の結果であった。
駅メディア接触者のうち残りの4割は接触後に何かしらの行動を起こしているわけだが(図表5:行動喚起計のスコア参照)、その多くは「広告の内容を見た・読んだ」人が占めており、「商品・サービスについて調べた」人や、「家族や知人と話題にした」人、「SNSに投稿した」人はいずれも1割にも満たない。「駅にあるポスター・看板」の特徴の一つに、反復して接触するため情報の刷り込みができることが挙げられるが、やはり駅メディアに広告を出稿することにより期待できる効果というのは、情報を認知させることが限界なのだろうか。

SNSで拡散される駅メディアとは?
駅メディアは情報を認知させることには長けており、最近1年間に見た「駅にあるポスター・看板」について、その広告の写真を撮ってTwitterやFacebookなどのSNSに投稿した経験がある人は3%とわずかではあるが、SNS上でその広告が“バズる”こともある。
SNSへの投稿率が高かったカテゴリーを確認すると、「食品」が45%、「飲料」「映画/演劇/イベント」が各29%だった。また、前述した3%の人について平均選択個数(SNSに投稿した経験がある人が、投稿したことがあると回答したカテゴリーの個数)は4個となり、複数カテゴリーの広告に関して写真を撮影しSNSに投稿していたわけだが、なぜこれらの広告はSNSに投稿されたのだろうか。その理由を複数回答で確認すると、「広告の内容が魅力的だった」「広告の内容がおもしろかった」が理由の上位に挙がり、広告の内容が重要であることがわかる。つまり、広告の中で紹介されている商品やサービスが魅力的であることは、SNSに拡散されるための要素としては、優先順位が低いと考えられるのである。
尚、商品サンプリングも兼ねた施策を見かけることもあるが、「プレゼントがもらえるなどのキャンペーン」が__きっかけとなり、SNSに投稿をした人の割合は1割に留まった。FacebookなどのSNSに投稿した経験がある人は3%であること、実際に“バズる”広告の多くがSNS上で“いいね”や“シェア”されていることを考えると、必ずしも現地で多くの人に接触してもらう必要はないのかもしれない。
▼調査レポート
『駅の広告はどのくらい見られているの?駅メディアに関する調査』(HoNote)