やりがちだけどやってはダメなことやムダなこと
市川:最後のテーマは先ほどとは逆に、やりがちだけどやってはダメなことやムダなことについて教えてください。
田尻:すごく話しにくいテーマですね(笑)。掲載された記事について、修正依頼やクレームを入れることでしょうか。記事を見た社内の関係者から「意味合いが違うから直してよ」と言われても、メディアにそのまま伝えるようではただの御用聞きになってしまいます。広告ではないので、基本的には事前確認もできませんし、明らかに内容に誤りがある場合を除き、連絡しても記事は修正してもらえません。それどころか、メディアさんからの信用も失ってしまうので、避けるべき行為ですね。
吉田:メディア掲載の数だけを目標にすることですね。私も広報1年目のときはそれを目標にしていましたし、当時は量をこなすことで感覚を養えたので良かったのですが、ずっと続けるのは良くないかなと。何よりもメディア掲載が優先になってしまうからです。事業の状況や課題に対して、どの媒体でどういう文脈でどのタイミングで掲載されるのがベストなのか、そもそもメディアに載る以外の方法、たとえば自社ブログであったり、イベント開催のほうが効果的なのではないか? なるべく経営視点で目標設定したほうが良いのかなと思っています。
地田:自己満足で終わらせないことですね。今はインナーコミュニケーションでイベントを行うことが多いので特にそう感じています。「楽しかったね!」で終わらせずに、本当に成功したのか参加者アンケートなどで確かめる必要があります。KPT(Keep Problem Try)を必ず行い、次に活かすようにしています。インナーコミュニケーションは成果がわかりづらいからこそ、定量で語れるように意識しています。
高井:私は「良い人」になりすぎるのは良くないなと思います。広報は一人の力ではできませんが、広報のリソースも限られています。最初は依頼が来たものに対してすべて対応しようとしていましたが、きちんと優先順位を考えて断ったり、自分たちでやってもらったり、嫌われる勇気を持つことも重要です。もちろん本当に嫌われちゃダメなんですが(笑)、御用聞きにならないよう会社の向かう方向とすり合わせながら自分の中で広報指標をもって判断することが重要かなと思います。その指標は“全社貢献出来るインパクトはあるか”、で判断することが多いです。
