縦組織の横展開で専門的かつ統合的な支援を提供
「時代の先端にフィットしたコミュニケーションを創出し続けること」を会社のミッションとして掲げるGMO NIKKO株式会社。その意味で、生活者にとっても企業にとっても、コミュニケーションインフラとして確立されているLINEを活用したマーケティングは必然的に取り組むべき命題であると、同社のメディアマーケティング本部 本部長である佐々木氏は言う。
運用型広告を得意とするGMO NIKKOでは、LINEに関して、営業・運用・メディア・クリエイティブなどの組織を横断したプロジェクトチームを編成。LINE Ads Platform(以下、LAP)だけでなくLINE ビジネスコネクト(以下、ビジネスコネクト)やLINE公式アカウント、LINEスタンプなどLINEの様々なソリューションの効果的な活用方法をユーザー視点でトータルに提案できることが同社の特長である。
同社の広告事業本部 マーケティングソリューション部の萩坂氏は、こうした組織体制について「我々が、LINEの情報収集を横軸で行うのは、次々とプロダクトがリリースされるLINEをそのスピードに合わせてトータルで活用できる体制を整えるため。我々にとっては、LINEもマーケティングの一つの手段であり、クライアントとユーザーのコミュニケーションを成立させることを一番に考えています」と話す。
新規顧客の獲得だけがLINEのメリットではない!
LINEが国内で有する月間利用者数は、約7,100万人。国内におけるDAU/MAU率が84%にも上る巨大なコミュニケーションインフラは、現状ではLINEの他にないだろう。LINEの最大の強みとして真っ先に挙げられるのが圧倒的なリーチ力であるが、同社としてもこの点をLINEの強みとして位置付けている。
萩坂氏は、LAPを含めLINEの各種プロダクトを組み合わせることにより、総合的なマーケティングが行えることをメリットと考えているそうだ。
「ダイレクトレスポンス系のネット広告は、通常だと新規の顧客獲得がメインです。ですが、新規顧客の獲得だけでは、広告主の事業拡大および売上の向上が実現できません。その点ユーザー数の多いLINEでは、新規で獲得した顧客をLINEの各種プロダクトと連携させ、リテンション型・エンゲージメント型の広告へ発展させることもできます。既存顧客の満足度向上やナーチャリングもできる点が魅力的です」(萩坂氏)
友だち追加後のブロック率が70%減!
配信面の拡大と新しいメニューの開発を次々と行っているLAP。そんな中、LAPの新しいメニューとしてGMO NIKKOが特に注目しているのが「Cost Per Friends(以下、CPF)」だ。
「CPFは、LAPを通じて公式アカウントの友だち追加をインフィード広告で促進できるメニューです。公式アカウントの友だちの増量を狙うには、スタンプなどのインセンティブをフックにアプローチする手法がありますが、どうしてもその後のブロック率は高くなる可能性があります。
一方、このCPFはノンインセンティブで友だち獲得を狙うものなので、インセンティブを与えた時と比較して、質の高い友だちを集めることができ、ブロック率の低減が期待できます」(佐々木氏)
なおCPFは現在、一部の代理店のみで取り扱いとなっている最新のメニューで、GMO NIKKOもその代理店の一つだ。(2017年11月現在)
「これまで多くの企業で、友だち登録後すぐにブロックされてしまうことを課題としていました。しかし、CPFを活用するとブロック率が約70%改善したというデータが出ています」(萩坂氏)
またCPFに関して特筆すべきなのは、従来よりも柔軟にLINEアカウントのプロモーション戦略を展開できるようになること。LINEスタンプを使ったプロモーションではまとまった予算が必要だったが、CPFは料金面で多くの企業がトライしやすくなっている。
「ロイヤルティの高い友だちを獲得することがKPIとなっているクライアントもいらっしゃいます。ビジネスコネクトを併用し、CPFで獲得した友だちと継続的な関係を築くことで、エンゲージメントの向上も実現します」(佐々木氏)
「ネット広告では、初期の接触で購入のアクションを求めることが難しくなっており、2段階・3段階のマーケティングが必要となっている。公式アカウントを挟んでエンゲージメントを高め、その後購入を促していくアプローチが、コミュニケーションのストーリーとしてきれいだと考えています。
これまではリマーケティングでいかに刈り取りを行えるかに焦点を置いていた企業が多いかもしれませんが、ユーザーとの接点を線でつなげていくことが、CPFのメニューで実現できるのかなと考えています」(萩坂氏)
LAP×ビジネスコネクトで効果の最大化とコストの最適化へ
LAPを基点に、複数のLINEのプロダクトを活用した提案ができる点を強みとする同社。LINEのソリューションを統合的に活用した事例として萩坂氏は、ある企業の施策事例を紹介した。
売上が伸び悩んでいた某コスメ企業は、リターゲティングでリーチできる母数の縮小が課題となっていた。Webサイトへの訪問履歴や購入履歴のある顧客へ再度アプローチを行うリターゲティングの施策では、まずベースとなる新規顧客の拡大が重要だ。そして再度サービスへ興味を持ってもらうための、適切なコミュニケーションも求められる。
そこで打った施策は、LAPを足掛かりとした2ステップのマーケティング。最初の段階で、トライアルキットの販売キャンペーンをLAPで実施し、新規顧客獲得と同時に友だち登録の促進とアンケートによる顧客データの紐づけまでを実施。そこからビジネスコネクトを活用して、エンゲージメントを高めながら、リピート購入を促していくという施策だ。
「この事例のクライアントさんは、ビジネスコネクトを導入されていたので、友だちとなったユーザーと顧客情報を紐づけ個別でコミュニケーションを図ることが可能でした。
まず初めに得られた効果として、LAPでトライアルキットのキャンペーンを行ったことで、他のプロモーションの約3分の1の単価で新規顧客の獲得に成功しました。その後のエンゲージメントの高め方としては、購入したトライアルキットがなくなるタイミングを見計らい、公式アカウントから定期購入のキャンペーンのお知らせを配信しました。このようなプッシュ型の施策をユーザーごとに行いました」(萩坂氏)
一般的な通販コスメにおいて、顧客がトライアル購入から定期購入へ移行する割合は10~20%とされている。対して、LAPと公式アカウント、ビジネスコネクトを組み合わせたこの事例では、標準値を上回る結果が出て売り上げの拡大を実現したと言う。
ビジネスコネクトでは、API連携することで企業の顧客データや購買データと、ユーザーのLINEアカウントを紐づけることができる。自社のLINEアカウントと友だちになってくれたユーザーと、双方向かつOne to Oneのコミュニケーションが行えるプロダクトだ。ビジネスコネクトとLAPを組み合わせることで、成果とコストの最適化が図れるのではないかと、萩坂氏は話す。
関係性が構築されてこそ、商材への誘因が効く
続けて、教育系の商材を扱う企業に対しても同様のソリューションを展開した事例もある。
「教育系の商材を扱っているクライアントさんの場合、お客様はお子さんのいる保護者です。ですので、保護者の方と公式アカウントの友だちになったタイミングでビジネスコネクトと連携させています。ビジネスコネクトを通し、お子さんの成長に合わせ、最適な情報を配信する仕組みです。もちろん最終的なゴールは、商材への誘因ですが、顧客へ最適な情報を提供しクライアントとの関係性を築くことを前提として大事にしています」(萩坂氏)
顧客属性に合わせ、コミュニケーションの設計図を作成し、LINE上でエンゲージメントを高めていく。すると購入やサービスへの興味が自然と起こりやすくなる、というのが、LAPを基点としたLINEでのマーケティングの特長だ。また、LINEを活用したカスタマーサポートが可能なLINE カスタマーコネクトも含めてソリューションを設計すると「より密度の高いコミュニケーションが実現できる」と佐々木氏は語る。
マーケティング活動も個別最適化されていく時代
先日LINE社が発表した「Marketing Partner Program」にて、GMO NIKKOはSales Partner部門のブロンズに選ばれた。佐々木氏は「弊社の運用型広告の取り組み実績をもっとLAPへ活用できるはず」と、さらなる展望を掲げ、LAPへの期待を次のように語る。
「LINEは生活者にとって欠かせない存在であり、また無意識に近い状態で利用していることが多いと思います。つまりLINE上では、ごく自然な姿勢で情報や広告と接触しているのです。
LAPがその特性をより活かすことができれば、生活者と企業、それぞれにとって心地よいコミュニケーションを創造できるはずです。より適切なタイミングで、より適切な内容の広告が表示されるよう、ターゲティングの手法や広告フォーマットなどの機能が拡張されることを期待しています」(佐々木氏)
そして萩坂氏も「獲得目的が集中してしまうネット広告の課題を、LINEでなら解決できるのではないか」と期待を寄せる。
「特にダイレクトレスポンスを展開するクライアントからは、多くの顧客と接触するために、ファネルを大きく拡大するネット広告のソリューションが求められています。企業のマーケティング活動も、画一的ではなく個別最適化されていく時代。LAPおよびLINEのソリューションは、その変化にも対応できるのではないかと思います」(萩坂氏)
GMO NIKKOでは、引き続きLAPをはじめとしたLINEのソリューションの提案に注力していくという。さらにLINE社と共同でプロダクトアウトではなく、マーケットインでクライアントに寄り添ったソリューションの開発も手がけたいと意欲的だ。