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海外カンファレンスの歩き方

コミュニケーションビジネスの本質が、カンヌ・ライオンズにはある/有園式英語トレーニング方法

 マーケティング先進国の欧米と比べると、日本のマーケティングは10年遅れていると言われています。感度の高いマーケターは、競合と差をつけ、グローバルでの戦いに勝つために、最新の情報を得る目的で海外カンファレンスに参加しています。その一方で、言葉の壁もあり、海外カンファレンスに参加してみたいとは思っていても、いま一歩踏み出せずに躊躇している人も多く存在しています。本連載では、業界の有識者がオムニバス形式で、マーケターが参加すべきおすすめの海外カンファレンスを紹介していきます。第二回目は電通デジタルの有園氏による、広告・コミュニケーションの祭典「CANNES LIONS(カンヌライオンズ)」の紹介です。

広告・コミュニケーションの祭典「カンヌ・ライオンズ」

イベント名:Cannes Lions International Festival of Creativity(通称、カンヌ・ライオンズ)

開催時期:6月下旬

場所:フランス・カンヌ

概要:クリエイティブやコミュニケーション、広告・マーケティング関連業界のグローバルな世界最大級のイベントで毎年、1万から1万5,000人ほどが集う。様々なレベルのセッションがあるので、初心者から上級者まで楽しめる。

キーワード:クリエイティビティ、デジタルトランスフォーメーション

URL: https://www.canneslions.com/

主催:Ascential

「伝統を重んじ溺れず、進歩を求めて驕らず」

 カンヌ・ライオンズは、元々1954年に創設され映画の広告フィルムのコンクールとして始まった。その歴史と伝統を肌で感じることができる一方で、既存の枠に収まってはいない。常に領域を拡大し、もはや広告だけの祭典ではなく、AIやIoTなど新しいデジタル領域のセッションも数多くあり、チャレンジを続けているイベントだ。

 テレビCMなどマス広告の制作者であれば、従来の手法や発想が国際的には通用しない事実をカンヌ・ライオンズで突きつけられるだろう。その一方で、デジタル領域で仕事をする人間は、最先端に従事する自分に驕ってしまうことがある。しかし、ここカンヌに来ると、テクノロジーに詳しいだけではマーケティングやコミュニケーションの領域で質の高い仕事をするのは不可能であると悟るハズだ。

 たとえば、今年のフィルム部門のグランプリは「WE ARE THE SUPERHUMANS」だった。この作品は、既存のテレビCMではなく、動画での拡散も意図していることは明らかだ。また、その表現も障害者を力強くポジティブに描いた。斬新でありその内容と相まって感動的な作品となったのであろう。

 また、今年のカンヌで多くの話題を呼んだ作品として「Fearless Girl」がある。テクノロジーに詳しいだけでは、このような社会に対する痛烈なメッセージは生まれて来ないだろう。

 カンヌ・ライオンズでは、常にチャレンジを続ける作品や業界人に直接、触れることができる。そこに最大の価値がある。

 「伝統を重んじ溺れず、進歩を求めて驕らず」。この言葉を参加する度に、自らに言い聞かすことになる。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/16 07:00 https://markezine.jp/article/detail/27457

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