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海外カンファレンスの歩き方

イノベーションを生み出す「混乱と熱気」。 街全体を会場に見立てた巨大カンファレンス、SXSW。


海外のほうが頭が冴える。僕の場合、着想は、たいてい海外で

 僕は今までに数冊の本を書いていますが、最初に書いた『教えて!カンヌ国際広告祭』の大元になった考察は、2004年に審査員を務めた時に、カンヌ(フランス)現地で考えたものです。

 カンヌ国際広告祭日本代表審査員という大役を務めた僕は、興奮していました。毎日大量に押し寄せて来る日本では経験できない刺激で頭脳が活性化し、次々と新しい考察が湧いて来るのです。帰国後に大きな会場での報告会で話す義務があったこともあり、受賞作の傾向や日本の常識との違いを考えておこうとは思っていたのですが、“なんとなく考えておく”を越えて、スライドの元になる考察はほとんど、現地で会期中に書き上がってしまいました。日中は過酷な審査に臨み身体は疲れ果てているはずなのに、着想が次から次へと浮かんで来てしまい、半分は仕方なく、夜遅くまでPCに向かっていたのを覚えています。この時の考察が大元になって、後の『教えて!カンヌ国際広告祭』執筆につながったわけです。

 僕はその後も10年以上、毎年のように海外カンファレンスに出かけています。資金や時間の捻出を考えるとシンドイ部分もあるのですが、それでも無理して出かけて行くのは、「海外のカンファレンスで刺激を注入すると、自分の頭が冴える」からに他なりません。日本にいたままではずっと思いつかないようなことを、わずか1週間ほどの間の刺激で海外では思いつくのです。僕の書いた多くの論文や記事や書籍は、「海外での着想」がきっかけになっています。

自分の英語能力の範囲で必死に聴く。聴こえて来たキーワードだけでもいい

 というわけで、皆さんも、ぜひ海外カンファレンスに出かけてみてください。もちろん、「英語力の問題」は残ります。僕は海外在住経験もあり一応英語を使えるのですが、それでも正直言うと、セミナーの隅から隅まで理解できるわけではありません。読者の皆さんの中には、ほとんど聴き取れないという方もいらっしゃることでしょう。英語は使えると便利なので英語の勉強自体もお勧めしますが、しかし、「英語が使えるようになってから、海外カンファレンスに行こう」というのは、少し違うと思います。

 まず行ってセミナーに出席して、必死に聴きましょう。日本人参加者が多いので同時通訳のヘッドフォンを借りられるカンファレンスなどもありますが、そういう時も借りてはいけません。なぜならば、「正確な内容」よりも「語られることをそのまま浴びる」ことのほうが重要だからです。

 その時に注意すべきは、「キーワード」です。英語のスピーチでは、テーマとなるキーワードが何度も繰り返されることが多いので、必死に聴いていれば聴こえて来ると思います。そのキーワードだけでも覚えて帰って、あとから検索をかければかなりの情報が得られます。また、裏技を披露してしまいますが、そのカンファレンス関連のハッシュタグを活用して、英語圏からの参加者のSNSへの投稿を参考にする手もあります。クセのある発音で聴き取りにくいスピーカーの発言も、参加者が取りまとめて投稿してくれたものを文字で見ると、理解できる。そんなことも少なくありません。

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2018/01/22 09:20 https://markezine.jp/article/detail/27538

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