評価されるブランディング動画広告を行うために
狙うべきターゲット層、広告目的とKPIが定まったら、次に重要なことは、 “何を持って施策が成功した!と評価するのか?”について、マーケティング担当者のみでなく、ステークホルダー間で認識を1つにすることである。
たとえば、アメリカの某飲料メーカーの赤ちゃんがローラースケートで踊る動画は、グローバルで1,300万回再生を獲得し、最もバイラルした動画広告として、ギネスにも登録され、大きな話題となった。それにも関わらず、飲料メーカーのその年の売り上げは対前年比で-25%、マーケットシェアの拡大に全く寄与しなかった事例がある。
もし、キャンペーン目的が、ファネル上部のブランドイメージの刷新であれば、たとえ、目先の売り上げには貢献しなかったとしても、新しいブランドイメージの認知の向上が中長期に見て、ビジネスを動かすドライバーになるという経営判断であれば、爆発的にバイラルしたこのキャンペーンは大成功だったと言える。
しかし、もし短期での売上とマーケットシェアの拡大が喫緊の命題だったとすれば、この場合、購買の一押しに寄与しなかったファネル上部でのリーチ(動画再生回数)へのリソース投資は、経営判断ミスだったと評価されかねない。
この事例が示唆することは、再生回数やバイラルそのものが施策のゴールであってはならないこと。大切なのは、施策とその成果が企業のマーケティングゴールである売上最大化から逆算して、どう位置づけられるのかである。
最終的にマーケティングの成果として期待されることが、ブランド価値向上の先にある売上であればなおさら、マーケティング担当者は、限られた社内のリソースを、いつ、どこで、何のために投下し、どのターゲットに対して、どんな効果を期待し、何をもってその施策を成功と定義するか、現在の立ち位置とファネル下流のコンバージョンに到達するまでのロードマップを描く必要がある。
特に、分かりやすいダイレクトレスポンスより、ブランディング向きな動画広告においては尚更、なぜ、今、ファネル上流にアプローチするのか、“ブランディング広告”に投資する理由を今一度、適切なKPI設定と共に全ステークホルダーに対して認識を1つにすることが、マーケティング投資の最適化への近道となる。