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COLUMN

あなたは気づいているか?2018年マーケターが捉えなければならない5つの潮流

2:市場規模が役に立たない時代の到来

 市場規模はわかりやすい。ハイビジョンテレビの市場の中で4Kテレビのカテゴリーが数年後に成長するなど明快だ。ただし生活者は市場規模が大きいからといってテレビの購入を決めるわけではない。家族の集まる場所を作りたいなど、コミュニケーションのために買う人もいれば、働き方が多様化し、可処分時間をもてあますことで生まれた余暇時間の活用のために買う人もいるだろう。

 または不眠を解消するためにテレビを見ないと眠れない人には、ハイビジョンか4Kか解像度のスペックよりもブルーライトを抑えられるプロジェクターのほうが良いかもしれない。

 忙しくて視聴時間が連続で1時間割けない人や、テレビ番組を見ないYouTube世代に訪れているような「自由にチャンネルを選び、ザッピングしながら視聴する」ことが重要な人には、もはやハードウェアとしてのテレビを選択する以前に、そもそもテレビ番組というコンテンツやチャンネルの数が適応できていないのかもしれない。ちなみにこれはコンテンツが1時間であっても、オンデマンドという形でNetflixやHuluが叶えていることだ。

 このような生活者の多様なライフスタイルが、人が商品やサービスを買う理由に多くの変化をもたらしている。

 テレビを持つことがステイタスで買うことが当たり前の時代はとっくに終わった。逆に一人暮らしの若者にテレビを売ることが困難な時代だ。今必要なのは生活者の抱える課題を特定し、商品やサービスが持つ機能や印象に一貫性を出さなければいけないことだ。それでやっと生活者の関心を獲得し、買ってもらうための入り口に立てるのである。

 このようなことから言えるのは、「モノで括られた市場規模という指標は意味をなさなくなりつつある」ということである。市場規模の大小だけを見て安易に参入すれば、同様に参入した企業が仕掛ける価格競争や、無限に続く付加価値創出の競争による利益率の低下が待っているだけである。

 何より危険なのはモノの市場規模を意識するあまり、最も重要な生活者の課題を発見し解決することから目を背けてしまうことだ。生活者が本当に求めている価値を探し出し、それを生活者へ伝えなければならない。

3:煩わしさの解消

 生活者はそれぞれ「お金を支払ってでも解決したい煩わしい問題」がある。それを解決するために購入という行為を取るのだ。だからこそ購入行為自体が煩わしいものであってはならない。その生活者にとっては、あなたの商品やサービスの購入がゴールではなく、その購入を通じてその先にある煩わしい問題を解決したいと思っている。

 さらに購入することで精神的な安定や、その購入を決めたことで得られる心理的報酬さえも求めている。自分の選択は正しかったと思いたいのだ

 その商品を他商品以上に選ぶ理由は、その購買体験やその後の利用体験が煩わしくないと思っているからである。そのためにも購買体験やその後の利用体験を最高のものに磨き上げる必要がある。

 日本の人口減少は明白だ。業績を向上させたいのであればリピート購入の有無や頻度が企業の命運を分けるのは間違いない。だからこそ購入体験やその後の利用体験が、今後より一層重要になる。

4:サブスクリプション

 今少しずつ人の購買行動に変化が訪れているのはご存知だろうか。「モノを買う」以外の選択肢として、「サブスクリプション」が増えている。

 なぜ購買よりもサブスクリプションを選ぶのだろう。サブスクリプションは購入する時に発生する、「一括での高額な費用」や、「所有や維持にかかる負担」を軽減する。サブスクリプションは一括購入に発生する多くの悩みを解決し、意思決定を楽にするのである。

 たとえば、CDやDVDは購入からサブスクリプションに移行したわかりやすい例だ。今はスマートフォンと高速なネット環境があるためわざわざCDやDVDを購入しなくても、Apple MusicとNetflixでレンタルをすれば所有や維持の煩わしさがない。むしろ毎回購入の意思決定から逃れて、膨大な曲や映画やドラマをいくらでもその場で即座に見ることができる。Amazonはさらに本のサブスクリプションも始めている。

 ちょうど今、日本でも「#わたしのサブスクリプション」というハッシュタグが話題になった。

 米国では既に、食品やカミソリなど日々使う商品が次々とサブスクリプションに置き換わっている。日本でも食品ではオイシックスがあるし、洋服やバッグなどでも多くの企業がサブスクリプションを開始して勢いを増している。

 人は一度に高額な費用を支払う決断をしたくない。さらにそれが何度もその都度発生するのは苦痛でしかない。購入するよりサブスクリプションを活用することで、費用や所有した場合の維持、決断にかかる回数や時間、それらを考えるストレスなど、あらゆる負担を軽減できる。

 あなたの仕事は本当にモノを買ってもらうことなのだろうか? サブスクリプションを活用して購入という高いハードルを押し下げることができれば、生活者の負担を軽減できるだけでなく今までは購入に踏み切れなかった新たな顧客の獲得が可能となる。

 新たな顧客とサブスクリプションという継続された関係と顧客接点を持つことで、今後マーケティングの役割も「購入まで」から「購入以降」が重要になる。

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5:ブランドのあり方が変わった

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この記事の著者

菅原 健一(スガワラ ケンイチ)

株式会社Moonshot 代表取締役 CEO

企業の10倍成長のためのアドバイザー。社会や企業内に存在する「難しい問題を解く」専門家。クライアント10社、エンジェル投資先20社の計30社のプロジェクトを並行して進める。過去に取締役CMOで参画した企業をKDDI子会社へ売却しそのまま経営継続し売り上げを数百億規模へ成長。スマートニュース...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27718

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