サイト訪問者の特徴/サイト構築に必要な要素
BtoBサイトを訪れる人、つまり企業向け製品やサービスを購入するに当たってのプロセスは、一般的に認知⇒情報収集⇒選定(見積もりや問い合わせ)⇒実商談、である。このプロセスの中で、BtoB企業がWebサイトに求める役割は、「認知」と「情報収集」を実現する情報提供であることが多い。成功するBtoBマーケターは、サイトを訪問者の課題解決ツールと位置付けており、この「認知」と「情報収集」の観点で、サイト訪問者の特徴や利用背景を踏まえたWebサイトを制作している。
BtoBサイト訪問者には、一般消費者がターゲットであるBtoCと違った以下のような特徴がある。
・情報収集のためにWebサイトを重要視する人が多い
・検索エンジンを用いて探す人が多い
・購入までの意思決定にかかる時間が長い
・購入者が必ずしも自分のために買うわけではない
・ビジネスユーザーは悠長に情報収集する時間がない
・サイト上では成約しない
このような特徴を持つサイト訪問者の課題を解決し、Webサイトをビジネスに貢献させるために、BtoBマーケターは次の3つの点に留意されたい。
検索エンジンからの訪問者数の増加
誰もが知っている大企業であればあまり心配する必要はないが、中小企業の場合、何より「認知」してもらうことが成功のための第1ステップだ。多くのビジネスパーソンが情報収集に検索エンジンを利用している現状を考えると、検索エンジン経由のサイト訪問者数を増やさない手はない。
検索エンジンからの訪問者数を増やすための施策としてSEOやSEMが注目されており、これを実施することによりサイト訪問者は増える。しかしこれらの施策を実行するに当たっては、広告出稿やサイトのSEO対策のための外部発注や担当者の作業工数といったマーケティングコストがかかる。できるだけ少ないコストで高い効果を得たいと思うのが普通であろう。
そこで有効なのがアクセス解析である。アクセス解析によって現状のサイト訪問者が利用した検索キーワードや、広告出稿したワードごとの費用対効果を明らかにすることができる。流入数の多い検索キーワードに対して集中的にSEO対策をしたり、費用対効果の悪いワードの広告出稿を止めたりすることによって、より効率的に検索エンジンからの訪問者数を増加させることができる。
サイト訪問者が必要とする情報の提供
情報を探している人がサイトに来てくれたら、その人が必要とする情報を適切に提供する必要がある。
ほとんどの企業で製品やサービスの情報を提供しているが、それだけでは十分とは言えない。サイト訪問者の知識レベルはさまざまであり、製品スペックやサービスの内容だけでは、自分の課題を解決できるか否かが判断できないこともある。そこで、その製品やサービスで解決できる課題や実際の事例などを載せることにより、サイト訪問者の判断を容易にすることが大切だ。
さらに、製品はいったん購入したらそれで終わりとは限らないことから、購入後の情報としてサービスはもちろん、保守についての情報やQ&Aも欲しいところ。また、製品やサービス購入の判断材料として極めて重要な価格については、できる限り表示したほうが良い。BtoB製品やサービスは顧客に応じてカスタマイズするものも多く、価格表示が難しい場合もあるが、参考価格でも良いので載せたほうが判断の役に立つ。
加えて、このような情報を提供する際、どの知識レベルのサイト訪問者でも理解できるように、サイト訪問者が理解できる言葉でできるだけ平易に書くことも重要である。社内では当たり前の言葉も、世間一般では通用しないことが多いためだ。
Webサイトの使いやすさ、情報の見つけやすさ
BtoBサイトを訪れる人は基本的に忙しく、情報を探すために悠長に時間を使ってはいられない。できるだけ短い時間で必要とする情報を見つけたいと思うものだ。そこで重要になるのがWebサイトの使い勝手の良さ、および必要とする情報の見つけやすさである。専門用語ではそれぞれ、ユーザビリティ、ファインダビリティという。ユーザビリティやファインダビリティを向上させ、サイト訪問者にとってストレスなく必要な情報を見つけられるようにすることにより、欲しい情報が見つけられずにWebサイトから出て行ってしまうといった機会損失を減らすことができる。