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広告主のマーケターが昨今のマーケティングカンファレンスに思うこと


カンファレンスの役割

 カンファレンスも1つのビジネスであり、顧客である聴講者のニーズに基づいてスピーカーが選ばれるのは当然だと思います。

 しかし、ここで感じる違和感は、多くのカンファレンスが「有名マーケター」に一方的に教わる受動的な場になってしまっているということです。

 元来、カンファレンスには大きく2つの役割があると考えています。

  1. 業界的な課題への問題提起や、業界の今後について示唆する灯台としての役割。
  2. 問題提起や示唆を受けて、現場はどうアクションしているのかアウトプットを示すことでフィードバックを受け、業界を活性化させる議論をする役割。

 1つ目の役割については、多くの先輩マーケター達がその手本を見せてくれています。

 私自身、社会人になって以降、多くの先輩マーケターの話を拝聴しマーケティングについて学ばせてもらっています。

 彼らは常に、我々が目指すべき方向や指針を示し、業界の本質的な課題はどこか、そして、それらにどう立ち向かっていくべきかを伝えてくれます。

 例えば、今年はデジタル領域で多くの問題が取り沙汰されましたが、アドフラウドやブランドセーフティ、フェイクニュースといった問題は、どのカンファレンスでも業界の権威となる方々が問題提起し今後の展望を示唆していました。

教わる場か、考える場か

 私の違和感は、そういった問題提起を受けてどう行動した(しようとしている)のか、現場で実務を預かるマーケターからのアウトプットが少ないという点です。

 つまり、役割の2つ目が機能していないのではないか、という違和感です。

 2つ目の役割は、何も業界の課題に対してだけではありません。

 変化が異常に速いマーケティング業界(特にデジタル領域)においては、成功事例をロールモデルとして横展開するよりも、次のFirst Move Advantageを取って「最初の」成功を取ることの方が重要だと考えています。

 とすると、実は、すでに成功したモデルを学ぶよりも、今まさに作っているモデルや、あるいは、失敗談とその中のファインディングスを学んだ方が「実務に活かす」という意味では有益かもしれません。

 明確な正解がないからこそ、カンファレンスを利用してディスカッションするべきだと思いますし、その議論を受けて、次の問題提起をしてくれる人が現れる環境こそ理想的な状態だと感じます。

 つまり、カンファレンスという場所は、ただ「教わる場」ではなく、「考える場」なのではないか、ということです。

「広告主が話す」ということ

 「業界の課題」といっても、代理店やメディアからはなかなか切り込むことのできないテーマも多々あるのではないでしょうか。

 そこには、切り込むと代理店やメディアが不利になるからあえて切り込まないケースと、本当は切り込みたいのだけどクライアントの手前切り込めないケース、の2つがあるでしょう。

 アドフラウドなどの問題は前者、ステマまがいの広告などは後者の1つかもしれません。

 だからこそ、話しにくいテーマについて、広告主が率先して問題提起することは非常に重要な意味を持ちます。

 そういった意見を発信し共有できることがカンファレンスの魅力であり、立場を越えて議論を積み重ねることで、業界をより良くしていけると信じています。そして、現実の業務の中で、そういった問題意識を最も敏感に感じ取っているのは、実は現場を預かる若手だったりします。

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若手はもっと主体的に参加すべき

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この記事の著者

廣澤 祐(ひろさわ ゆう)

花王株式会社 DX戦略部門

2015年に花王株式会社へ入社し、デジタルマーケティングを経験したのち化粧品ブランドのマーケティングに従事。2021年からDX担当部門としてデジタル活用の推進に従事。2020年より公益社団法人日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構 U35プロジェクト幹事を務め...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/16 09:46 https://markezine.jp/article/detail/27731

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