昨今、様々なテーマでマーケティングに関するカンファレンスが開かれていますが、建設的な議論をするものから、事例紹介やセールストークだけのものまで玉石混交です。しかも、建設的な議論をしているカンファレンスに限って、次の時代を担うはずの20代を中心とした若手マーケターの参加が少ない状況です。今回はカンファレンスの過熱化によって生じている違和感と、私と同世代である20代若手マーケターも議論の場に出ることの重要性をテーマに寄稿をお届けします。
「成功事例」ばかりの違和感
サクセスストーリーは確かに聴き心地が良くきらびやかであるが故に、視聴者としては何かヒントを得られたような満足感が高いです。
確かに、業界で活躍するマーケターの成功要因を聞くことで、本質的な課題を知り、思考プロセスを学ぶことができます。
自分達のビジネスに立ち返った時、ただ事例を真似るのではなく、どのように「考え方」を活かすべきか、という向き合い方をすると、セッションへの参加は非常に有益なものになります。
しかし、実態は横展開しやすく再現性の高い成功事例へのニーズが非常に強いと感じます。
昨今、最も過熱気味なテーマはデジタルマーケティングに関するカンファレンスですが、ことデジタルマーケティングにおいて、成功とされる事例は瞬く間に古い事例となっていきます。
テクノロジーや生活者を取り巻く環境の変化が異常に速い現代において、簡単に真似できる、あるいは、すぐに古くなってしまう「成功事例」を、ただ聞くばかりに終始してしまって本当に良いのでしょうか。
誤解のないようにお伝えすると、「古い」か「新しい」か、という時系列の問題が重要なのではなく、成功事例を横展開することを目的とせずに、その本質を学び持ち帰ることが重要ということです。
つまり、「お客様を動かす」という意味において、新しいか否かではなく、紹介された事例の何がポイントだったのかを突き詰めることが大事なのです。
日本と海外の違い
よく、日本のマーケティングは海外のマーケティングの周回遅れをしている、という話を耳にします。
実際、2016年に参加したAdvertising Week New Yorkでは、最新技術や最新事例の紹介といったテーマは一巡し下火となっていました。
では、何が議論されていたのかというと、「オーセンティシティ」、「ダイバーシティ」という2つのキーワードが中心にあり、この流れは2017年のAdvertising Week New Yorkでも引き継がれていたように思います。ちなみに、Advertising Weekは、ほぼすべてのセッションがオンラインで視聴できます。
なぜ今、「オーセンティシティ」かというと、テクノロジーは相変わらず目まぐるしい速さで発達しており、すでに人間がそのバックグラウンドのすべてを理解・把握するのが難しい領域に達してきているからです。
テクノロジーが日に日に進化していくことは不可避な流れの中で、企業やブランドは生活者と真摯に向き合うために、それらとどのように付き合い、どう使っていくのかという観点から、企業やブランドはお客様に対してどうあるべきか、企業活動の本質的な部分から考え直そうという雰囲気が立ち込めていました。
また、「ダイバーシティ」という点についても、ただ単純に消費者の興味関心が多様化している、というだけの話ではありません。
カンファレンスのスピーカーやテーマそのものも多様化しており、登壇者が全員女性のセッションや、次の社会の主役であるミレニアルズにフォーカスしたセッションも開かれています。
日本では、まだまだスピーカーは上位職の方や男性が非常に多い印象で、大きなカンファレンスになるほど同じ顔ぶれになってしまっている印象です。
今、日本のカンファレンスに必要なことは、多様性を増すことと、議論をする姿勢を持つことではないでしょうか。
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廣澤 祐(ひろさわ ゆう)
花王株式会社 DX戦略部門
2015年に花王株式会社へ入社し、デジタルマーケティングを経験したのち化粧品ブランドのマーケティングに従事。2021年からDX担当部門としてデジタル活用の推進に従事。2020年より公益社団法人日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構 U35プロジェクト幹事を務め...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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