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MarkeZine Day 2026 Spring

いまさら聞けないデジタル広告のトリセツ

デジタル広告のキソ 「広告効果・広告指標の違い」と「データ把握・要因分析」

ミクロの視点(各広告の個別最適)の要因分析

 ミクロでの要因分析では、「キーワード分析」「ユーザーリストの管理と広告配信先の精査」「クリエイティブ分析」「入札戦略の見直し」を行い、各広告のメニューやキャンペーンなど個別最適の視点から施策の改善を図ります。ミクロ視点での要因分析の詳細について解説します。

1.キーワード分析

 キーワード分析では主にリスティング広告(検索連動型広告)の「入札キーワードのクエリ調査」「入札キーワードの単価調整」を行い、アカウントやキャンペーンの目標KPIと実績値の数値を把握し広告効果の改善を図ります。

目的:キーワード毎の傾向や獲得効率、入札単価の見直しにつなげる。

入札キーワードのクエリ調査

  • キーワード毎の検索ボリューやマッチタイプの見直しを図る。

入札キーワードの単価調整

  • KPIに対して、効率的に獲得しているか獲得効率や入札単価を把握する。
  • 目標値と実績値を比較し逆算で入札単価の見直しを図る。

 下図のケースでは、広告予算に対する目標値(KPI)がCPA:\7,000、CVR:0.95%となるので、実施値と比較すると広告配信しているキーワードの広告掲載停止や入札単価の見直しを行うことが必要です。また実績値から目標ゴールを逆算することで、コストに見合った広告運用を行うことを心がけしましょう。

2.ユーザーリストの管理と広告配信先の精査

 顧客接点との関わり方の違いや、Webサイトへ流入した顧客(ユーザー)のモチベーション別に「ユーザーリストの管理」を行いターゲティング設定の見直しを図ります。

 また、6回目記事で解説した「広告配信先の精査」も、広告品質やリスク対策の観点と費用対効果の観点から見直しを図ることです。

目的:成果に結びつくユーザーリストの管理や広告配信先の見直しにつなげる。

ユーザーリストの管理

  • ユーザー層×モチベーション別にリスト管理しターゲティング設定の見直しする。
  • 対象ページへの訪問期間、訪問頻度など配信リストのUU数のボリュームを把握し精査する。

広告配信先の精査

  • ブランド価値の毀損や効率(費用対効果)が良くない広告配信先のドメインや掲載面、掲載枠の精査による広告配信除外(ブラックリスト)の指定など。

 下図のケースのように潜在層、顕在層などのユーザー層とモチベーション別にユーザーリストを作成し、必要なUU数に達する配信ボリュームがあるかリスト管理を行います。

 広告配信の精査では、同一メディアの広告枠に自社の広告が複数掲載されていないか、効率(費用対効果)の良くない広告配信先のドメインや掲載面、掲載枠などメディアプランと合わせて見直すことも必要です。

3.クリエイティブ分析

 各広告配信先によって静止画、動画など広告フォーマットや配信ロジックが異なるため「クリエイティブの勝ちパターン発掘」も各広告施策単位で行います。

 また、「クリエイティブのパフォーマンス改善」を実現するには、クリエイティブを要素分解し訴求内容と表現など各パーツ単位で検証し改善図ることが大切です。

目的:クリエイティブ勝ちパターンの発掘と劣化したクリエイティブの改善につなげる。

クリエイティブの勝ちパターンの発掘

  • 顧客ターゲットを明確し自社の強みや差別化ポイントなど訴求方法や表現など検証。
  • CTR、CVR、CTVR(CTR×CVR)などパフォーマンスの高い広告クリエイティブを発掘する。

検証パターンの洗い出しと統計を用いた優劣の判断

クリエイティブを要素分解し訴求内容と表現など統計的に見えて有意差があるか検証する。

 下図のケースのようにクリエイティブ別にCTR(誘導)とCVR(獲得)、そしてCTVR(誘導と獲得/CTR×CVR)で、パフォーマンスを確認しながらクリエイティブの勝ちパターン発掘を行います。

 また、クリエイティブのパフォーマンス改善にはCTRやCVRといった効率面だけの検証で留まってはいけません。

 検証要素を要素分解しパターンの洗い出し、検証に必要なクリックやコンバージョンの母数が適切か、統計的に意味のある差(有意差)があるか、それとも誤差なのか判断し検証します。その結果検証期間の短縮や広告費の削減などのメリットをもたらします。

4.入札戦略の見直し

 最後に入札戦略の見直しについてです。5回目の記事で解説しましたが、出稿する広告により広告の課金形態がそれぞれ異なります。課金形態の違いと入札単価を把握してはじめて、広告効果の改善が図れます。

 次に目標値(KPI)から逆算し上限値や適正値を判断します。現状の入札単価をもとにCPAやCV数、クリック数などをベースに上限CPCや適正なCPCを求めます。

目的:入札単価を把握し逆算し目標値(KPI)に数値を近づける。

課金形態の違いと入札単価の把握

  • CPC課金をeCPM※の指標でCPM換算しCPMに共通言語化する(※effective Cost Per Mille(eCPM):インプレッション課金でないものをCPMに置き換えインプレッション課金(CPM)ベースで入札単価を比較し判断する)。

目標値(KPI)から逆算し上限値や適正値を判断。

  • 目標値(KPI)から逆算し上限CPA、目標CV、目標クリック数などを判断する。

 下図のケースでは、同一の広告にIMP(広告表示回数)とCTR(クリック率)が同一条件で、課金形態が異なる場合にCTRの状況を見ながら課金形態と入札単価を調整しています。

 このケースの場合は、CPM課金で入札した場合の方が、広告費を抑えることができます。CPC課金の場合はCPM換算することで、課金形態と入札単価の見直しを図ることが可能です。

 また、予算ありきではなく目標値から逆算し上限とするCPAや適正なCV数など見直す必要があります。

 入札単価変更のタイミングや広告クリエイティブのCTRを高める以外に、CPMでの買付や広告配信までの流れなど、アドテクノロジーの仕組みや全体像を俯瞰的に把握し入札戦略の見直しを図ることも必要です。

  次回は、これまでの連載内容を踏まえて、マクロ分析の視点から「レポート作成の効率化・BI活用」「広告の直接効果と間接効果」「広告の貢献度(アトリビューション)」など、広告効果を把握するための分析や最適化の考え方など中心に解説します。

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この記事の著者

奥野 辰広(オクノ タツヒロ)

ITソリューション企業にWebディレクターとして入社後、ヤフーへ出向。中堅・中小企業クライアントを中心に約2500社のマーケティング支援。ECコンサルティング、SEMコンサルティング、メディアリレーション業務を経験。 2011年より、トランスコスモスにて大手企業クライアントを中心にアドネットワーク・DSPを中心にデ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27784

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