海外から見た日本のマーケ市場/視聴率への異常なこだわり?
――先日、日本の広告主向けにCNNの広告活動について説明するイベントを開催されたと聞きました。CNNICとしては、日本に注力する動きがあるのでしょうか?
スニータ:日本だけでなくアジア太平洋地域は、CNNICの中で、昨今急成長しているマーケットです。日本はその中で、最も優先度が高い地域だと考えています。現に、日本はアメリカに次ぎ、CNNにとって世界で一番大きなマーケットです。
また、2020年の東京オリンピックは大きなチャンスだと思っています。ここ3~5年における日本企業の動きを見ていると、日本が海外のマーケットへ自身のブランドや商品、ストーリーを発信することに注力し始めていると実感しています。これは民間企業だけでなく、観光局や地方自治体なども同じです。
日本が今海外へ伝えようとしている「日本のストーリー」はすごく大切なものです。なぜなら、2020年に観光客を呼ぶことがゴールではないから。ストーリーを伝える過程で、日本のブランドが形成され、2020年以降の日本の未来につながっていくのです。
――日本のデジタルマーケティングを見ていて、アメリカとの進展の差異を感じますか?
グレッグ:先に、コンテンツの消化という視点でその質問に答えると、日本はいまだにテレビ市場が強いことにアメリカとの違いを感じます。これはニュースだけでなく、エンターテインメントに関しても同じですね。
その理由は、CNNのコンテンツを日本のテレビで放送すると、異常に視聴率にこだわる風潮を感じるからです。視聴率至上主義には、日本でもこれから何かしらの変化が生じるはずだと、恐らく皆さん気づいているでしょう。しかし、多くのマーケターがデジタルとテレビへの広告費の投下バランスに悩んでいる気がします。
――アメリカでは、視聴率以外に何を指標にしているのですか?
スニータ:アメリカにおいても、デジタルとテレビを横断して、コンテンツの消化を測定できる技術環境は整っていません。もちろん、世界中どの国でもこれは実現していません。
よってアメリカでも視聴率は重要な一つの指標ですが、データに基づいたデジタル上でのコンテンツ消費を重視する動きが高まっているので、テレビとデジタルのバランスを取りながら、広告活動においてもマルチプラットフォーム化が進んでいる印象ですね。
とは言え、オーディエンスの視聴行動をテレビとデジタルともに横断して測定できるツールを、できるだけ早く開発する必要があります。2年後になるか、3年後になるかわかりませんが、そういった測定の手段が確立されれば、企業の広告活動はまた一段と発展するでしょう。

――最後に、広告活動を通して日本企業に期待していることを教えて下さい。
スニータ:日本のストーリーには、海外の多くのオーディエンスが注目しています。ですので、CNNのマルチプラットフォームを日本企業に活用してもらって、ストーリーの発信に貢献できればと思います。
同時に、CNNICでの広告活動ではどんどんチャレンジングなリクエストをしてほしいです。日本から刺激を受けて、CNNも成長し続けていきます。
グレッグ:CNNICは、2022年までにデジタル収益を倍増するという目標があります。日本のメディアには、オーディエンスが喜ぶコンテンツを提供することで、メディアの価値を高め、成功事例を重ねていってもらいたいですね。