ビデオリサーチは、3月1日、今回で3回目となる「VR FORUM 2018」を開催した。テーマは「TV×Digital NEXT Stage」とし、デジタルシフトが進むテレビメディアを取り巻く環境変化をどのように捉えて対応していくべきか、放送局・広告会社をはじめとした関係者が集い、議論を行った。
第一部の「デジタル時代のテレビメディア」と題したパネルディスカッションには、日本テレビ放送網 編成局担当局次長 兼 編成センター 編成部長の岡部智洋氏、テレビ東京 執行役員 編成局長の長田隆氏、RKB毎日放送 執行役員 編成戦略局長の岩熊正道氏、電通 ラジオテレビ局長の永井聖士氏が登壇。モデレータはビデオリサーチ テレビ事業局長の橋本和彦氏が務めた。
冒頭にビデオリサーチの橋本氏により、メディア環境の変化と現在の課題がデータと共に説明された。2007年以降、長期トレンドで世帯視聴率が下降傾向にあること、世帯視聴率と比較して個人のテレビ視聴は維持されていること、タイムシフト視聴をはじめとしたリアルタイム視聴以外のテレビの利用が伸びているといったデータが紹介されたが、特に興味深かったのは生活者のテレビというメディアに対する意識の変化だ。
たとえば2004年時点では、どの年代においても約8割が「テレビはふだんの生活に欠かせないもの」という認識を持っていたが、それがいまや平均で6割にまで落ち込んでいる。中でも15~19歳においては4割と特に顕著であり、それに取って変わるようにスマ―トフォンの重要性が伸長している。また男性13~19歳、男性20~34歳においてはすでにテレビ視聴よりもインターネット利用時間が長くなっていることからも、スマートフォンやインターネットはいまや生活に欠かせないメディアとしてのポジションを確立しつつある。
これをうけて各放送局のデジタルへの取り組みや変化に対する危機感を表明。視聴者の満足や期待に応えるための取り組みや、テレビはインフラであるべきという理念などが話された。デジタルやデータを活用する重要性は共通認識であるものの、その根底には番組というコンテンツクリエイターとしての姿勢が表れていた。
このような議論を受けて、ビデオリサーチの橋本氏は今後の視聴率計画案を発表した。環境の変化に対応したテレビメディアデータを提供するために、関東に続き関西地区・名古屋地区でもタイムシフト視聴調査の準備を進めていること、2019年4月スタートを目指して北部九州地区での個人視聴対応を準備しているという。
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