やはり鉄板は「女性」と「古典的なおもしろさ」
6:サステナブル
スマホゲームなどでは、離脱防止や休眠ユーザー復活のために、コラボやイベントなどの企画を頻繁に展開して、リテンションに努める必要がある。その都度WebCM用に撮影までをするのは高負担すぎるが、かといってゲーム映像をつないだだけでは効果が薄い。
そこで、市販のアーカイブ映像を活用したり簡易アニメを作ったりすることで、さほど予算や労力をかけないWebCMを継続的に制作できるようにしている。それだけでも効果は違うからという。
引き出し7:著名人SNS
著名人のSNSも、もはや立派なメディアのひとつだ。ノンアルコールビール「キリン 零ICH(ゼロイチ)では、広告とは別にプロモーションへの起用が決まっていた博多華丸大吉さんの動画を制作することになり、コント風の動画を撮影。彼らのTwitterで流してもらい、オーガニックで100万回以上再生された。
「この零ICHIのように、オーガニックで見られることはいいことだが、それを目標に置くのはちょっと違うかなという気がしている」と小霜氏は話す。
「僕の経験上の仮説ですが、オーガニックで拡散される動画には、古典的なわかりやすさ、そして若い女性が出ていることという2つの大きな特徴がありました。ただ一方で、拡散力が高いものほど、むしろ売上にはつながりにくいともいわれています。それは、シェアすることで商品への飢餓感が擬似的に満たされるからではないかと僕は思っています」。
紹介した事例のWebCMなど、小霜氏の手掛けたWebCM・テレビCMはこちらからご覧いただけます。
マス&Webを最適に使いこなすためのポイント2つ
商品の良さをストレートトークで紹介する、冒頭のVAIOの初年度キャンペーンは、それほど拡散はされなかったが商品の売上につながった手応えは大きかったという。「ターゲティングして“自分ごと化”してくれれば、広告は決して嫌われ者にはならないし、しっかりと見て買ってくれる」と小霜氏。
では、マス&Webを最適に使いこなすためのポイントは何だろうか?

そのひとつは、運用コンサルタントやメディアプランナーをクリエイターの近くに置くこと。Web広告はマス広告と違って、秒数などの枠の規制がない。そのため、出し方を決めてからでないとコンテンツを固められないため、メディアプランニングがクリエイティブより前にある、または同時並行でないと進めるのが難しいという。
もうひとつは、マスからWeb、店頭までを全部統括する、強いクリエイティブディレクターの存在だと小霜氏。現実には、タレントの撮影時間が限られる中で、絶対に必要な画は何なのか、現場の状況に応じて企画まで立ち戻って提案し直す必要なども往々にしてあるからだ。
最後に小霜氏は、今後に注目する“引き出し”として、複合検索する際の2つ目、3つ目のワードに着目することでより精緻な興味がわかる、自身で名付けたという「検索連動 2.0」なども提示。「あらゆる引き出しを持って、みずからのチャレンジ精神で新しい最適解を見つけてください」と来場者にメッセージを送った。