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データを駆使して、これからブレイクするタレントを発掘!【エム・データ薄井×アタラ杉原対談】

狙い目は隠れたバズメイカーの発掘

杉原:では、実際の使い方について教えてください。

薄井:β版の場合、ログインするとまず総合ランキングが表示されます。デフォルトは全ジャンルの1万名近い人物が混在したランキングになっていますので、それらを人物ジャンルごとにセグメントします。TVメタデータが保有する人物マスターを使って、 アイドルや俳優、お笑い芸人、モデル、ミュージシャン、スポーツ選手、キャスター……だけでなく、政治家、文化人、ユーチューバーなどのジャンルで、調べたい人物ジャンルをセグメントすることができます。勿論、調査したい期間の指定も簡単にできます。

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薄井:先ほども述べたようにプロデューサーやキャスティング担当者がもっとも知りたいのはネクストブレイカーをキャッチできる情報です。ですので、テレビ番組やCMの出演が少ない人物をある偏差値ライン(ユーザーが自由設定)で足切りし、Twitterなどネットの話題が急上昇している人物でランキングするネクストブレイカー発掘メニューも作りました。この場合、ネガティブな話題で上位に来る可能性にも配慮し、ポジネガ判定表示も機能化しています。

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薄井:タレント個別の詳細情報が検索・確認できる分析メニューも用意しており、「ジャンル・職業/性別/グループか個人か/所属先/生年月日/スコアとランキング/時系列トレンド/ポジネガ判定/支持層の男女比・デモグラ別支持率/人気エリアのヒートマップ/共起語」といった詳細情報が確認できます。加えて、実際にどの番組やCMにどれだけ、どのように露出したかも生データで確認できます。

杉原:御社のメタデータはオペレーターの方が打ち込んでいると思うのですが、Twitterでのツイートや検索キーワードは言葉の表記の揺れが生じませんか? どのように吸収されているのでしょうか?

薄井:パートナーである角川アスキー総合研究所さんが保有するエンタメ系の辞書やタレントマスターを活用し、NTTデータさんから提供されるTwitterデータをクレンジングしているため、データが精緻化されます。それをTVメタデータの人物マスターと統合し、名寄せをして、表記揺れを吸収しています。

 また、Twitterのプロフィールをベースにして、あるタレントが今この瞬間どのエリアで人気があり注目されているかもわかります。例えば地方局さんではなかなかメジャータレントを起用できないため、例えば地方発で盛り上がり、だんだん全国に人気が拡大してきたタレントをアニメーションでとらえ、ブレイク前のローカルタレントをキャッチすることができます。ユーチューバーや生主などはその動きが顕著です。

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杉原:面白いですね!ネクストブレイカーを地域別で見て、例えば九州だけでフィルタリングしてみたら、やたらホットだった、といった状況が一目でわかりますね。

薄井:はい。地域に加えて男女10~60代までのデモグラ別支持率を見ることもできたり、全国平均に対して各都道府県でどの程度平均とのギャップがあるのかといったことがわかります。本当はここに検索やYouTube、Instagramのデータを入れるとさらに異なる指標が見えてくるのかな、と思います。

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薄井:後はポジションについてですが、これには面白い傾向が出ます。

 やはり出始めのタレントの方は、平均値以下のゾーンに集中し埋もれてしまいます。少し認知率が高まるとバズがつきはじめ、それに伴いテレビの露出が増え、さらにバズを加速させ「バズメイカー」のゾーンに入ってきます。ここに大きなキャズムがあり、ブレイクできるかのポイントになります。

 キャズムを超えられると「スーパースター」の領域に入ってきます。そこからテレビ出演が増え、レギュラー番組などが多くなるとバズが落ち着き「ブロードキャスター」ゾーンに定着します。

 現実的には、なかなかここまでくる方は少ないのですが、テレビ局の番組制作の方は、まずは「バズメイカー」の兆候やトレンドにある人物をいかに先取りし、やがてキャズムを超えるタレントをキャスティングできるかが、人選の妙になるのかなと思います。

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 ちなみに、アイドルの場合はブレイクの法則があります。複数のアイドルグループで検証した結果、各アイドルの番組露出時間が、NHK2局と民放キー5局の合計で、週100分を超えると国民的アイドルとして認知され、支持されるということがわかってきました。図にあるように、「AKB」も「ももクロ」も週100分を超えるとその年の紅白歌合戦に出場が決まり、時の総理大臣に桜を見る会に呼ばれています(笑)。

 我々はこれを「週100分の壁」とよんでおり、このような様々な法則をTalent Rankで研究し、選挙やブレイクタレント、ヒット商品や需要・トレンドなどの予測に応用していきたい考えです。

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 これは一例ですが、「Talent Rank」ならばこういったことが見える化できるのです。

 広告主からの依頼では、CMのタレントをキャスティングする際に、トレンドになっている俳優が誰なのか、まだブレイクしていないアイドルを採用するべきか、急上昇中のモデルは誰なのかなどのニーズに対し、その選択肢を提示できます。

次のページ
AIでの予測やスマートスピーカーへの対応も

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この記事の著者

杉原 剛(スギハラ ゴウ)

アタラ株式会社 代表取締役CEO
ノバセル株式会社 エグゼクティブディレクター

KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/04/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28228

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