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Web動画にインタラクティブ性が加わるとどうなる?花王に訊く「テクノロジーと並走するマーケティング」

Web動画にインタラクティブ性が加わるとどうなる?

――花王は、メイクアップコスメブランド「AUBE」のプロモーション動画に、インタラクティブ動画作成サービスの「Spotful(スポットフル)」を導入されたと伺いました。その背景をお聞かせください。

廣澤:「AUBE」でインタラクティブ動画の施策を始めたのは、私がデジタルマーケティング部に所属していた時です。「Spotful」では、動画をクリッカブルにし、動画上でWebページや別動画を表示することができます。採用の目的としては、動画を視聴したお客様のアクションを喚起すること、そのアクションのデータを計測すること、インタラクティブ動画への反応を見ること、の3つがありました

 具体的には、動画の最後に商品情報ページとECへの導線を設置したのですが、YouTubeの「終了画面(※)」を活用した動画と比較すると、アクションが2.5倍に増加しました。動画の内容を理解していただき、「もっと知りたい」「買ってみたい」という態度変容を起こすことができたと考えています。

中山我々は、動画内にリンクを挿入するポイントを、ホットスポットと呼んでいます。動画にはストーリーがありますので、ホットスポットをどのように設定するのかが重要です。今回は、クリックなどのアクションが増える適切なタイミングや位置について、弊社の知見を基に動画設計のサポートをいたしました。

 さらにこだわったのは、商品の世界観です。「AUBE」のカラーであるピンクを用いてホットスポットのデザインやフォントまで、世界観の統一を徹底しました。消費者目線で「これ、いいな」と思わせるポイントを作っている動画は、非常に良い結果が出る傾向がありますね。エンゲージメントやクリックにつながる共感をどのように動画で演出していくかが重要です。

廣澤:「Spotful」は、一つの動画再生枠で複数の動画やコンテンツを表示することができる点も魅力的ですよね。連続したストーリーや複数の関連動画への遷移が可能になるので、こういった所もインタラクティブ性に富んでいると思います。

(※)終了画面:YouTube内の別動画や再生リスト、Webサイト、別チャネル、チャンネル登録を促すコンテンツを動画の終了画面に表示することができる機能。25秒以上の動画が対象で、動画の最後の5~20秒に表示される。

多様化するWeb動画に追いつかない組織・人の問題

――昨今、様々な動画ソリューションが開発されていますが、かえってプロモーションの設計が難しくなったと感じることはありませんか?

廣澤:閲覧するデバイスが生活者ごとに異なること、そして媒体やサービスそれぞれに動画フォーマットが違うことには、ハードルの高さを感じます。たとえば、撮影した素材では縦型動画に上手く対応できない、なんてことは多々あるケースでしょう。

 ですから、Web動画は配信面やフォーマットから考えてクリエイティブを設計することが求められます。企業のマーケターとして、新しい広告フォーマットやテクノロジーをいち早くキャッチし、すぐに活用できるようにしておく姿勢も重要だと思いますよ。

中山:企業のメッセージをどのようなクリエイティブで生活者に伝えるか”についてはテクノロジーへの理解がヒントになりそうですね。これだけフォーマットがたくさん出てくれば、クリエイティブの制作現場にも変化が生まれてきそうですが、いかがですか?

廣澤:まだテレビ、Web両方の制作ノウハウを持ったクリエイターは多くないと思います。複数の絵コンテが必要になることや、撮影時間、場所の制限などといった物理的な課題も多いです。

 さらに組織体制から最適化できると理想的です。クリエイティブとデジタルマーケティングが組織内で分断されていると、コミュニケーションが遅れてしまいますので、円滑な情報共有は必須ですし、あるいは組織の統合なども考えられます。

中山:テクノロジーが先行する今、新しいことを取り入れるためには社内外の関係者との調整とスピード感が求められるということですね。マーケターの役割がどんどん広がっていきますね

廣澤:私も「Spotful」を導入するにあたり、既存のシステム体制で受け入れられるのか、社内調整に走りました。当時は、Web動画に最適化されたコンテンツを制作するリソースが少なく、テレビCM素材をそのまま配信するケースもありましたからね。強制的に新しいテクノロジーを取り入れることで、新しいWeb動画施策にチャレンジできるのでは、と期待していました。

 花王の場合は、デジタルマーケティング部が部署間のハブになる役割を担っています。私はデジタルマーケティング部からキュレルのブランド担当に異動したのですが、これからはプロダクトマーケティング側にもデジタルマーケティングへの理解を浸透させていきたいですね。知見も部署間で横断していかなければならないと考えています。

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顧客とのコミュニケーション全体をデザインできるマーケターに

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28255

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