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資生堂が語る、マス×デジタルを最大限活用する方法 重要なのは「生活者起点」

デジタルを補完的に使って最適化

 さらに中條氏は、「テレビだけ、デジタルだけと縦割りでターゲットへのリーチを頑張るのではなく、組み合わせてコミュニケーション効率を高めることが重要です」と続けた。

 あるテレビCMの投下量が900GRP(Gross Rating Point)の時、20代と30代の平均接触回数(FQ)がそれぞれ6回、7.8回だったとしよう。平均値は便利ではあるが、極端な値を吸収し、実態を正確に把握できないリスクもある。図3のケースもそれに該当し、平均FQ値が0回と20回以上に偏っていることがわかる。

 この偏りを是正するためにできることは、接触回数がゼロの人たちを減らすこと、20回以上とあるような過剰に接触している人たちを適正水準に減らすこと、正規分布に近づくように接触を積み上げることだ。これをテレビだけで行うのは難しい。そこで中條氏は「デジタルを組み合わせて実現しよう」と考えた。

 テレビとデジタルと組み合わせる場合、結果の検証をプロモーションが終わってから行うべきではない。常に状況を把握し、プロモーション中にベストの水準に持っていけるよう迅速な対応が求められるのだという。

 中條氏は、テレビのスポットCMの放映開始した翌日から全国での広告認知調査を始め、認知率のよくない地域を見つけたら、LINE、Facebook、Instagramでその地域のターゲットにリーチするようにしていると話した。その狙いは最終的に全国でブランドリフトを最適化することにある。

 「広告認知率がテレビだけの場合と比べ、デジタルだけでは低かったとしても、組み合わせればテレビとほぼ同等の広告認知率を達成できます」(中條氏)

 テレビ単独、デジタル単独ではなく、組み合わせた結果の広告認知率である「クロスフリークエンシー」をモニタリングすることの重要性が強調された。

「脱専門的」なコミュニケーションを

 この講演で紹介された取り組みの根底にあるのは、生活者起点である。とかくデジタル広告に注目が集まる中、従来型のテレビCMのようなマス広告を補完する位置付けでデジタル広告を使うやり方が示された。

 今後は、MIT Media Labも掲げる「脱専門的」という考え方をコミュニケーションに取り入れていきたいと話した中條氏。今後の進化が予想される既存メディアとデジタルメディアの間の領域に注目し、現在はメディアごとに異なる計画と実行のプロセスの共通化や、用語や指標も共通化していきたいと考えているのだという。

 中條氏は最後に「今までのメディアのあり方に囚われず、今後のコミュニケーションのあり方を意識しながら新しいやり方を追求したい」と述べ、講演を終えた。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/04/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28295

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