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有園が訊く!

「代理店任せ」では遅すぎる現実 広告主企業で進むダッシュボード導入の理由

代理店は主管パートナーの座を狙うべき

有園:ただ、代理店としては抵抗していても仕方がないのでは?

杉原:おっしゃる通り。データをリアルタイムで把握し対応すること、そのためには迅速な判断が必要だから主導権は広告主にあるべき、というのはもう明らかな潮流です。

 代理店としては、これを受け入れて腹を割って広告主企業とパートナーシップを結び直さなければ、いずれ他の代理店に主管パートナーが取って代わられて、その代理店に指示を仰ぐような形になりかねません。きれいごとかもしれませんが、そうなる前に、話し合ったほうがいい。

有園:今が瀬戸際ですね。これを機に、サービス対価への理解を求める意味でも。代理店をダッシュボード活用の主管パートナーとして、既にダッシュボードを導入しているライトインハウスの広告主は、フィーの部分もそうした形で受け入れている?

杉原:そうですね。ただ、その場合のパートナーは中堅代理店が中心で、大手代理店の例はまだありません。広告主も丸投げだったのは問題ですが、それ以上に代理店が変わらないといけない。

有園:デジタル領域は、旧勢力にディスラプティブに働きかけて新しい価値を生み出すのが本領だと思うので、そこは変えていきたいですね。

 特にデータに関しては、今後ますます発展するAI活用と非常に密接です。今がまさに「AIにデータを食わせる企業になるのか、それともデータを食われる企業になるのか」の分かれ目だと思うんです。AIでビジネスを加速したいなら、データを“食わせる”側にならないといけない。

AIにデータを“食わせる”企業になれ!

杉原:本当に、そうですね。DomoもAIを搭載していて、かなり的確なアドバイスを示すようになっています。先ほど日販の話も出ましたが、広告主も代理店も「今」が見られるようになって、俄然「未来」を知りたがっているんですが、データからAIに未来予測をさせるには当然、データの蓄積が非常に重要です。

 その収集方法も多様になり、たとえばロボットにデータを自動的に回収させるRPA(Robotic Process Automation)などの活用で自動化も進んでいます。

有園:デジタル広告は当然として、メールやSNSへのレスポンスも大事なデータですよね。デジタルだけでなく、マス広告の出稿状況もすべて取っておく。OOHでも効果が取れるものもあるし、テレビCMはデジタル化が進んでいるので、デイリーのコストやGRPだけでなく、新しい各種の指標も役立つはず。

杉原:ですよね。マーケティング以外だと、売上関係は当然、それに影響する天候情報も重要です。さらに経営視点だと財務系、従業員の給与や配置や勤務状況までデータとして取れるものはすべて取得して一元管理すべきです。それも、加工せずローデータの状態で。ローデータさえあれば、我々のような事業者がそれを正規化して分析の設計をしていけますから。

有園:今後はそうしたデータの重要性を理解する人材が必要ですし、もちろん経営者も理解しないといけないですね。パートナー選びもシステム選びも、経営判断になってくる。

杉原:そう意識しなければ、このスピード感にはついていけないですね。世の中のデータ量は倍増する一方なので、先々を見越して AIのトレーニングデータを集める意味でも、整備に取り組むなら今だと思います。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/25 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28358

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