7社を巻き込みながらもわずか3ヵ月で導入
MZ:導入のハードルになったことはありましたか。
山北:チャットでカスタマーサポートを行うための「Manual Reply」とユーザーの料金負担無しで通話対応ができる「LINE to Call」を導入しています。両方を導入している企業が他になかったため、システム設計には苦労しました。以前の自社システムでは、メールはメール、電話は電話と問い合わせをバラバラに管理しており、カスタマージャニー全体における顧客接点間のつながりが見えませんでした。電話もチャットも単一のマーケティングツールに集約するために、パートナー企業7社を巻き込みながら進めていくことは想定以上に大変な作業となりました。
サードパーティツールとしては、Webチャットとは別のチャットツールを再選定しましたし、LINEから情報を自社システムに連携させるためのアダプターとLINE電話を自社受電システムにつなぎこむためのゲートウェイの開発も必要でした。アダプターとゲートウェイについては、開発パートナーの紹介をLINEさんにお願いしました。
LINEさんからのサポートに加えて、複数のパートナーと連携してプロジェクトを進める必要があったので、進捗管理はLINEのグループで行いました。計画から実装までのスケジュールは、当初半年と見込んでいましたが、実際には2月から着手し、3ヵ月程度でローンチできました。
お客様との距離を縮めるコミュニケーションが可能に
MZ:LINE カスタマーコネクト導入後の成果について教えていただけますか。
山北:まだ導入して間もなく、定量的な効果を検証できる段階ではありません。ですが、チャットから問い合わせを頂いたお客様の商品購入の確度については、以前よりも向上したという印象を持っています。
定性的な効果については、「最初は迷っていたが、気軽に相談ができたので購入の気持ちが決まった」など、お喜びの声を多数いただいています。意外だったのが、男性のお客様から奥様へのプレゼントの相談のように、電話では難しかった問い合わせをいただいたことです。
課題だった30〜40代の女性とのコミュニケーションにも変化が生まれています。LINEのチャットならば、電話はかけられない通勤時間でもアクセス可能です。お客様からスタンプや顔文字での返信をいただくことも多く、オペレーターには積極的にスタンプ、画像、動画を送ってほしいと伝えています。対応をマニュアル化して縛りを設けるという考え方もあると思いますが、今はできることの幅を狭めないようにしています。
オペレーターとお客様が、友達同士でLINEをするときのような感覚で対話できており、距離感が縮まったことを実感しています。さらにカウンセリングの確率もWebでのチャットと比べると高くなったと考えています。