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LINEマーケティング活用最前線(AD)

スカパー!が全12社で進める一大プロジェクトから、LINE ビジネスコネクト活用の可能性に迫る

 デジタル衛星放送事業を展開するスカパー!は、LINE ビジネスコネクトを導入し、顧客IDとLINEのIDを連携。カスタマーサポートにおいて、電話とメールに加え、LINEでの問い合わせにも対応している。そして、この取り組みの延長線上には、同社がパートナー企業11社と共に進めるプロジェクト「次世代スマートコンタクトセンター」がある。今回、プロジェクトの鍵を握るスカパー・カスタマーリレーションズの代表取締役社長 出水氏と、デジタルシフトウェーブの代表取締役社長 鈴木氏に、取り組みの狙いやビジョンについて、話を聞いてきた。

NTTデータなど11社のパートナー企業と進めるプロジェクト

 LINEが幅広い年齢層に定着した“生活者のインフラ”になりつつあるということは、多くのマーケターが言及していることだ。

 そのLINEを活用し、顧客対応の新しいダイナミズムを創り出そうとしているのが、「スカパー!」のカスタマーサポートを運営するスカパー・カスタマーリレーションズ(以下、SPCC)と、デジタルシフトウェーブが中心に進めるプロジェクト「次世代スマートコンタクトセンター」である。

(左)株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏(右)株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ 代表取締役社長 出水啓一朗氏
(左)株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏
(右)株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ 代表取締役社長 出水啓一朗氏

 デジタルシフトウェーブは、セブン&アイ・ホールディングスの取締役CIOを務めていた鈴木氏が、日本企業のデジタルシフト推進のサポートを目的として、2017年に起業した会社だ。NTTデータやセールスフォースドットコムなど、合計12社が参画する「次世代スマートコンタクトセンター」では、プロジェクト進行を円滑に進めるため、アドバイザーの役割を務めている。

 「電話、メールにLINEなど、お客様は多様な手段を用いて日々コミュニケーションをしています。スカパー!の顧客対応を万全とするため、お客様一人ひとりへ個別対応ができる体制を目指し、このプロジェクトを始めました。具体的には、スカパー!の顧客IDとLINEを連携することから取り組んでいます」(出水氏)

LINEでのサービスイメージ

2014年のリリース直後から、LINE活用を模索

 SPCCは、LINE ビジネスコネクトが2014年にリリースされて間もないころから、カスタマーサポートにおける活用の形を模索してきた。実は、この動きにインスパイアを受けたLINEが、2017年4月に顧客対応に特化した「LINE カスタマーコネクト」をローンチしたという経緯もある。

 当時、LINEをカスタマーサポートの場として利用しようとする企業は、ほとんどいなかったはずだ。なぜ、LINEに着眼したのか。

 出水氏は、「お客様のコミュニケーションツールへの変化に対応するためには、LINEとの連携が必須だから」と即答した。

 「電話、メールに加え、チャットも出てきた昨今、多様なツールに対応するには、Peer to Peerのツール間連携が欠かせませんそこで、LINEです

 LINEは、チャットボット機能やクラウド対応が可能ですし、既にここ数年で生活者に定着したインフラとなりました。企業とお客様との間に生じるコミュニケーションを円滑にするツールには、LINEが最適であると判断しました」(出水氏)

オペレーターによる複雑な案件の解決率約50%を打開するには

 「次世代スマートコンタクトセンター」は、顧客窓口業務のデジタルシフトを推進するプロジェクトとしてスタートした。その出発点に立ち返ると、コールセンター時代から顧客サポート業務に携わるSPCCは、従来のカスタマーサポートに次のような課題を抱えていたという。

 「たとえば、お客様に電話をかける時、我々はお客様が何をしているのかわからない状態で掛けざるを得ません。間が悪いタイミングで電話を掛けてしまう可能性もあります。

 一方でメールにおいても、弊社は24時間以内に返信することを目安にしていますが、すぐに返信が欲しい場合には適していません。加えて、メールだとやり取りが重たく感じる場合もあります。さらに、もっと気軽に応対できる選択肢としてチャットがありますが、チャットはほぼ同時進行で会話が進むことが多いため、電話同様に相手の時間を拘束する不都合があります」(出水氏)

 これらの痛し痒しを解消するのがLINEだと出水氏は話す。LINEは、メールに比べライトなテキストのやり取りができるため、お客様との距離感を程よく保つことができる。コンタクトのタイミングも、電話ほど気を遣わなくていい。チャット機能による自動応答があるのに加え、ID連携によるパーソナルなコミュニケーションを図ることも可能だ。

 「オペレーターによる問い合わせの中で、複雑な案件の解決率は約50%と言われており、口頭での対応には限界があります。ですが、LINEなら写真でのやり取りも可能です。たとえば、テレビへの配線や接続の問い合わせなら、配線状況を口頭で説明してもらうよりも写真を送ってもらうほうが、素早く状況を把握できますよね。

 また、LINEは高齢層との相性も良いのです。『スカパー!』は、ご高齢のお客様も多いですから、幅広い世代への対応を充実化する役割も果たしています」(鈴木氏)

ITベンダーと事業主の間にある「溝」とは

 出水氏は、従来のカスタマーサポートにおけるもう一つの課題として、ITベンダーと事業主の間にある“溝”にも言及した。

 「ITベンダーは、新しいテクノロジーを生み出すことに長けていますが、そのテクノロジーをどう活用するかを考えるのは得意でありません一方、事業主はお客様のためにテクノロジーを活かす方法を考えることに優れています。ITベンダーと事業主の間に、こういった“溝”があるのは、とてももったいないことだと思うのです」(出水氏)

 一般的に、多くのカスタマーサポートのシステムは、一社のITベンダーに依存する形で成り立っている。だが、一社のベンダーによるシステムを使用していると、さらに発展したITテクノロジーが出てきた時、事業主側で柔軟に対応することができない。一度作りこんだシステムを変えようとすると、時間もコストもかかることは想像に難くないだろう。

 また、新しいITテクノロジーの導入に時間をかけている間に、次々と新しいテクノロジーが誕生するのが現代だ。だから、デジタルシフトを前提としたクラウドベースの変化に強い仕組み作りが必要であり、それに挑戦しているのが「次世代スマートコンタクトセンター」である。

 「昨今のITテクノロジーの進化はすさまじく、様々な技術が生まれている一方で、それを活用するフェーズには移行できていないと感じてなりません。ここで強みを発揮するのは、活用方法を考えることが得意な事業会社です。もっと両者が積極的に連携して、それぞれの強みを活かしアイデアを出し合うべきです」(鈴木氏)

全社的なデジタルシフト推進に必要なもの

 SPCCによるカスタマーサポートのデジタルシフトを通じて見えてくるのは、時代や生活者に沿うために、SPCCが全社的にデジタルシフトに取り組めていることである。鈴木氏は、このSPCCの強みについて、下記のように語った。

 「デジタルマインドを全社的に植え付けるには、企業のトップに立つ人間がその意識をいかに強く持てるかが重要です。トップの率先垂範ほど説得力のあるものはありませんから。SPCCの場合は、出水さんが率先してプロジェクトを進めており、この点で非常に強いのだと思います。

 私は長く流通業をメインにやってきましたが、流通業界にもカスタマーサポートの業界にも共通しているのが、社内にシステムに強い人間がいないことです。もっとシステムに強い人間を社内に置いて、テクノロジーの発展に合わせてトライアンドエラーを繰り返せる組織体制にしておきたいところです」(鈴木氏)

デジタルを道具として使いこなしながら、最適なCXを

 最後に、「次世代スマートコンタクトセンター」を推進するSPCCに、今後の展望を尋ねてみた。出水氏は、「スカパー!」ライフを楽しんでもらうためのユーザーサポートが最優先、としながら以下のように語った。

 「SPCCは、カスタマーセンターとして、お客様の時間・期待・気持ちを大切にすることをミッションとして掲げています。デジタルを目的化せず、道具として使いこなしながら、お客様の期待に応えたいカスタマージャーニーのどの点においても、常に最適な顧客体験を提供できるカスタマーサポートでありたいと考えています」(出水氏)

 また鈴木氏は、現場で直面する社員やスタッフの意見や声がデジタルシフトの大きな原動力になることを強調した。

 「札幌や沖縄にある、SPCCのコールセンターを訪問した時に、現場の皆さんが工夫しながら案件と対峙している姿がとても印象的でした。このように現場で努力を重ねるスタッフのノウハウとデジタルが掛け合わされると、かつてない技術や知恵が生まれるはずです。

 顧客対応の分野で先陣を切って進むSPCCが、今後どのように発展していくのか。共にプロジェクトを進める立場から、注目しています」(鈴木氏)

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/06/19 12:00 https://markezine.jp/article/detail/28474