※本記事は、2018年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』30号に掲載したものです。目次はこちら!
●外部環境の変化にさらされた厳しい中でネット事業に活路
●看板を外すに至るまでに30人で共有した危機感
●デジタル全般を事業に活かし2つの事業を推進
●キャッシュレス社会におけるカード会社の戦略
●小売りと決済が一体化すればデータ活用は進化する
●情報提供をカスタマイズし送客機能を強化
外部環境の変化にさらされた厳しい中でネット事業に活路
株式会社クレディセゾン 取締役
デジタル事業部長 兼 デジタルマーケティング部長 磯部 泰之(いそべ・やすゆき)氏
1992年クレディセゾン入社。営業企画やDBマーケティング推進業務に従事後、銀行・百貨店・コンビニ等との合弁会社へ出向。その後経営企画や広告宣伝部門を経て、2011年より現職。データビジネス事業企画、ネットビジネスでの新規事業開発を担当。また、2015年6月VBとの事業シナジーを目的に設立した「セゾン・ベンチャーズ」にて取締役を兼任。2017年3月ネット事業部長(事業部統括)就任。2018年3月より現職。
――磯部さんには、2016年にデジタルガレージと共同でプライベートDMP「セゾンDMP」をリリースされた際、WebのMarkeZineでお話をうかがいました。当時はネット事業部の中のデータマーケティング部長を務められていましたが、その前は経営企画やマーケティングや宣伝にも携わっていらっしゃったんですね。その間、カード会社を取り巻く環境はどう変わってきたのでしょうか?
ネット事業部の前が広告宣伝、その前は経営企画部門に所属していたのですが、当時の2010年ごろはちょうどカード会社に対する様々な規制が出始めたころでした。貸金業法改定、割賦販売法の改定がされ、収益環境が外的要因によって激変し、我々の稼ぐ力にも影響が出てきたのは数字にも表れていました。当社以外のカード会社は次々と縮小したり、銀行や他の企業の傘下に入ったりしたので、独立系のカード会社はほんの少ししか残っていません。
なので、その意味では当時から圧倒的な危機感がありましたね。元々新しいことへ積極的にチャレンジする風土はありますが、もっと切実に、このままではいけないと感じていました。当時はフィンテックという言葉もありませんでしたが、私としては中長期的な視点でこれからテクノロジーの進化はますます加速し、ネット産業の領域はどんどん拡大していくはずだと見ていたので、それを専門にする部署が必要だと提案しました。その結果、しばらく後にネット事業部が立ち上がり、提案した自分が担当することになったという経緯があります。