B.LEAGUEの活性化に向けて
――初めに、お二人の自己紹介をお願いします。
葦原:公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(以下、B.LEAGUE)の事務局長を務めております、葦原と申します。B.LEAGUEでは、全部門のマネジメントを行っています。また、B.MARKETINGの立ち上げ時から、ビジネスプランやマーケティングの方向性の策定にも携わってきました。
菅原:私は、B.MARKETINGでグッズ販売の担当をしています。菅原と申します。自ら商品企画をすることもあれば、各クラブチームが企画した商品へのフィードバックをすることもあります。我々は、メーカーではないので、あくまでも選手や試合をプロモーションすることに重きを置いて活動しています。
――B.LEAGUEとB.MARKETINGの事業内容をお聞かせください。
葦原:バスケットボール業界には、B.LEAGUEだけでなく、日本代表やアマチュアなど色々な組織に権益があります。B.MARKETINGは、それらの権益をパッケージングして、より価値のあるコンテンツとして提供しています。今のところ、スポンサービジネスと放映権による売り上げが大きいですね。
また、B.LEAGUEは、「世界に通用する選手やチームの輩出」「エンターテインメント性の追求」「夢のアリーナの実現」という3つの使命を果たすことをミッションにしています。我々はこのミッションのもと、B.LEAGUEを盛り上げていくために、マーケティングをはじめ様々な施策を行っています。
入場者数は150%に!スマホを起点にした顧客体験に行き着いた理由
――では早速、B.LEAGUEのマーケティングについて、うかがっていきます。まず、B.LEAGUEは発足当時からスマートフォンを起点とした集客施策に取り組んでおられます。当時、どのような考えのもと、この施策をスタートしたのですか?
葦原:大きく2つのポイントがありました。まず1つ目は、野球やサッカーと比較して、バスケットボールの観戦者には若年層が多いということ。
もう1つは、バスケットボールの試合を見てみたいという観戦意向者は、テレビよりもスマートフォンのヘビーユーザーである傾向が高いことです。これは観戦意向者のペルソナ分析から判明しました。さらに、情報をスマートフォンで収集するだけでなく、自ら発信する傾向が高いことも特徴です。
これら2つのポイントを踏まえて、B.LEAGUEを活性化させる施策を考えた結果、スマートフォンで完結できる体験を提供しようと決めました。
――具体的には、スマートフォンでどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
葦原:観戦チケットの購入から入場までをスマートフォンだけで完結できるようにしたことが、一番大きいですね。他にもグッズの販売、情報の配信を行っています。アプリでは、応援したいチームのお知らせや勝敗結果などがプッシュ通知で配信されるほか、簡単なアプリゲームも提供しています。
――このスマホファースト戦略を始められてから、約3年が経過しています。現時点で、どのような成果が上がっていますか?
葦原:現在、来場者数は年間250万人です。スマホファースト戦略をスタートして、1年目は約40%、2年目は11.8%、来場者数が増加しました。なので合計50%くらい、来場者数が増加したことになりますね。