どんなチャネルの買物にも楽しみを
ネットでの買物はとかく、時間節約、最短最速で「ポチる(購買する)」ことが最大の価値であると思われがちです。この研究をみても、ネットショッピングにおいて合理的な買物価値を重要視する側面があることは事実です。しかしこの研究が示している重要な示唆は、お客様もネットにおける快楽的な買物価値を求めているし、企業が提供する快楽的な買物価値を好感しているという事実でしょう。
今やお客様はネットとリアルを行き来しながら買物を行います。その買物行動はますます融合していきます。この研究はネットにおける買物価値を研究しているわけですが、これからはやはり第5回の連載でも解説した通り、オムニチャネル環境下での買物価値の究明、理解が必要になってきます。
Amazonが取り組もうとしていることはやはり常に、お客様中心であり、顧客起点での顧客時間、カスタマージャーニーの設計をオムニチャネルに展開することに挑戦することであるように思います。
ネットストア、モバイルアプリ、店舗、どのチャネル形態においても素晴らしい買物体験、楽しみを提供していくことが大切です。我々もAmazonの足元には及ばなくても、顧客起点で、ネットとリアルの区別なくカスタマージャーニー、顧客時間を設計することに挑戦し、お客様に少しでも買物の楽しみを提供していくことに尽力していかなくてはいけないと思います。
ネットとリアルはつながっている。融合していく。このことに向き合っていくことが大切です。
今回紹介した論文は以下の通りです
Scarpi, D. (2012). Work and fun on the internet: the effects of utilitarianism and hedonism online. Journal of interactive marketing, 26(1), 53-67.