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コルクの佐渡島氏が語る、『君たちはどう生きるか』ヒットの理由&コミュニティ起点の熱量の拡げ方


一枚のTシャツからだって、コミュニティは拡がる

――では、コルクラボでは、どのようなプロジェクトで熱狂が生まれているのでしょうか?

佐渡島:ビジネス寄りのものだと、コルクラボのメンバーが立ち上げた、ノンフィクション作家 小松成美さんの新作を制作するプロジェクトなどがあります。ビジネス以外のライトなものだと、みんなで目標を掲げてダイエットをするプロジェクトなどもあります。

 実は今日もおもしろいことがあったんですよ。今僕が着ているのは、コヤチュー部3周年記念Tシャツですが、午前中にスターバックスで店員さんに話しかけられたんですよね。

――Tシャツについて?

佐渡島:そうそう、「もしかして、コヤチュー部ですか?」って。このTシャツは、コミュニティの人気投票でデザインを決めたんです。僕はコヤチュー部で『宇宙兄弟』初代編集担当の“サディ”として登場しているので、その店員さんに「僕が、サディなんですよ」と言ったら「えぇーっ!」と驚かれて(笑)。こういう風につながれるのは、すごく可能性があるなと思ったんです。

――Tシャツは、コミュニティが広まるきっかけになっているんですね。

佐渡島:ええ。それで、たとえば「僕がこのTシャツを着ている時に話しかけて下さい、ステッカーをプレゼントするので」とTwitterで投稿するとします。そこで話しかけてくれた人がそのステッカーをツイートして、それを僕がリツイートして、ということが重なったら、その輪が広がっていきます。

 次第にTシャツを着ている人同士が話しかけ合ったりして。些細なことだけれど、そうやって人の幸せが少しずつ増えていくと思っています。

すごい魔法なんてない、人を変えるのは日常だけ

――そのような熱量の拡げ方は、とても新鮮です。佐渡島さんにとって、理想のコミュニティは、どのようなものですか?

佐渡島:イメージとして近いのは、かの手塚治虫など著名な漫画家が暮らしていたトキワ荘ですね。僕が思うのは、人を変えるのは日常の中だけだということなんです。すごい魔法なんてなくて、日常の中で人は成長していくその成長が無理なく起こるコミュニティが、良いコミュニティではないかと考えています

――佐渡島さんのコミュニティ論について、重要な観点をうかがえました。最後に、今後の展望ややりたいことをお聞かせいただけますか?

佐渡島:今まさに注力したいのが、CRMです。僕らはECもやっていますが、それは商品ありきではありません。あくまでコンテンツ(作品)があり、それを中心とするコミュニティがあって、そこでのコミュニケーションが円滑であると関連するグッズがほしくなる。その延長線上で商品を開発しています。

 コヤチュー部でも、オンラインを起点にTシャツを買い、オフラインのイベントに着ていって、その様子を今度はInstagramにあげるといった「オンライン・オフライン・オンライン」という導線ができていますこの流れをすべてデータで分析すれば、コミュニティを活性化させる道が見えてくるはずです

――商品ありきではなく、コンテンツが描くストーリーの延長線上に求められる商品があるから開発する、という順番なのですね。CRM担当者は、マーケターとは違うのでしょうか?

佐渡島:マーケターは、コミュニティの外を見に行く職業だと思うんですね。そうではなく、コミュニティの中を見つめる職業も、同じくらい必要なんです。マーケティングコストをかけて、新規顧客を外から引き込むと、すぐ離脱されてしまうことも多いと思います。一方で、熱狂は外に伝播します。コミュニティを見つめ、その中のプロジェクトを通して外にも伝わる熱狂を生み出すことで、結果的に新しいファンの創造にもつながると思います

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/12 09:59 https://markezine.jp/article/detail/28739

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