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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

購買意欲が91%まで上昇!ロッテ「乳酸菌ショコラ」の事例に学ぶ、マルチクリエイティブの重要性

3つのキーワード×6種類の入り方で動画を制作

MZ:CyberBullの須藤さんは、ロッテさんの要望に対し、どのような提案を行ったのでしょうか。

須藤:まず先ほど中村さんからお話のあった3つのインサイトをもとに、罪悪感・挫折感・切迫感という3つのキーワードを設定しました。そして、キーワードをテーマに制作した複数の動画をFacebookとInstagramで配信し、クリエイティブの分析と購入意欲の調査を行う提案を行いました。

株式会社CyberBull ブランド事業部
アカウントプランナー 須藤悠太氏

 ナショナルクライアントを中心に、動画広告に特化したプランニング、提案を行う。

中村:罪悪感とは、チョコレートに対するネガティブなイメージから食べられないことを指します。挫折感とは、健康のためのアクションが続かないというもの。そして切迫感とは、乳酸菌を取りたいと思っているけれど、通常の食品で摂取するのは手間がかかり大変という状態です。

MZ:では、動画の制作工程を教えてください。

須藤:3つのキーワードと6パターンのアテンション(動画の導入カット)という組み合わせで、合計18種類の動画を制作しました。

アテンションの一部

 アテンションに関して補足すると、まずチョコレートのとろける様子を表現した「チョコシズル」、「食べたい」「でもガマン……」といった「心の声」、部屋や職場といった場を表す「シチュエーション」。そして、スマホやPCで広告バナーを見ているシーンを表した「バナー」もあります。また、乳酸菌ショコラのパッケージを見せる「商品」、機能を示した「コピー」と、合計6パターンを設定しました。

重要なのは、複数パターンを一人に当てること

MZ:ここからは、広告の配信設計についてうかがいます。従来であれば、キャンペーンの中に複数のクリエイティブを設定し、効果の高いクリエイティブに配信を寄せていくのが一般的かと思いますが、今回はどう設計したのでしょうか。

須藤:なるべく複数のクリエイティブを一人の方に見ていただくことを想定し、配信設計しました。たとえば罪悪感編のキャンペーンの中で、効果の高いクリエイティブを配信しつつも、同時並行で同じ方に挫折感編・切迫感編も見せていくような設計です。また検証精度を高めるため、配信期間終了まで継続的にクリエイティブの検証を行いました。

MZ:クリエイティブの効果は、どのような指標で計測されたのでしょうか。

須藤:フィード上で指を止めて広告を再生する確率・平均再生時間・視聴完了率の3つの指標を基準に評価しました。最も良かったクリエイティブは罪悪感編で、その中でも特によかったものは、ネットサーフィン中に乳酸菌ショコラのバナーに気づくというアテンションで構成したものです。他のインサイトに関しても、「バナー」から入る動画は平均して効果が良かったですね。

中村:配信しながらターゲットの視聴状況にあわせて効果検証ができる動画広告は、より深くインサイトを知る手段として実用的であると思いましたね。検証により、お客様の深層心理が可視化されたことは、大変な驚きでした。

 また、これまでのテレビCMを短尺化しただけのクリエイティブのみでは、飽きられてしまいます。

 同じ商材であっても、クリエイティブを変え、常に新鮮な気持ちで何度も見ていただくことが重要であると気づきました。今回は動画広告の検証をテレビCMやその他のマーケティング活動に反映させていくという目的もありましたので、有意義な結果だったと思います。

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購買意欲が91%まで上昇、態度変容の促進に手応え

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マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/11 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28754

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