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インターネット広告の歴史と未来

90年代後半のポータル戦争の最中に登場したGoogle 「なんだこのスカスカのサイトは!?」


90年代後半のポータル戦争

佐藤:90年代後半はポータル戦争といってもいい状態で、インターネットの入り口の陣取り合戦をやっていました。ポータルサイトはバナー広告が主な収益源だったため、サイト上の検索エンジンを利用したユーザーがどんどん外部のサイトに流出してしまうのはもったいないと考えはじめました。

 ユーザーをポータルサイト内にできるだけ抱え込もうという動きが出てきて、ポータルサイト自体がいろいろな機能やコンテンツを抱えるようになっていきました。加えて、既存メディアと合流する流れもあり、AOLがタイムワーナーと合併、米国のInfoseek本社はDisneyが買収しました(Go.comに名称変更。DisneyはABCやESPNなどのテレビ放送事業を傘下に抱える)。

 さらに国内では、とある総合代理店から「テレビCMは全画面使うことができるけど、インターネットはWebサイトの一部のバナー広告だけ、これでは勝てない」という指摘があり、Webサイトのトップページ全画面を占領する広告商品を作ってジャックを行っていました

 そもそもインターネットは「利権の破壊」による中間層の淘汰と「投資効果」の透明化を通じて個人をエンパワーメントするものであったはずなのに、と、個人的には若干絶望的な気分でした。

Googleの登場

佐藤:そうした中で、1999年頃にGoogleが出てきました。最初にGoogleを見たとき、「なんだこのスカスカのサイトは!?」と思いました(笑)。当時のポータルサイトはみんなバナー広告だらけのサイトだったからです。

 

1999年当時のGoogle(Internet Archive)/検索エンジンとしては後発だった。
1999年当時のGoogle(Internet Archive
検索エンジンとしては後発だった。

 業界全体がいかにバナー広告を多く表示させるかという方向に向かっていたせいか、Googleが出てきた時はものすごい衝撃で「こいつらおもしろいな」と思いましたね。無駄なものは極力省いて、人と情報のマッチング・マシーンに特化した、めちゃクールなサービスだな、とものすごく興味を持ちました。Googleはドメイン内にユーザーを閉じ込めるのではなく、どんどん外に出していくというやり方なのでポータルサービスのようにユーザーをサイトに閉じ込めてバナーを見せるというスタイルではないからテキストリンクなんだな、と理解したものです。検索結果も、今までのサーチエンジンは一体なんだったんだろう? と思えるような精度の高さで、研究の為にインフォシークジャパンのエンジニアも、自分のパソコンのホームページをGoogle にしていたような記憶があります。

 当時のGoogleにAdWordsはまだなく、検索結果の上部にテキストのリンク広告を表示させる「プレミアム広告」をインプレッション固定単価(全キーワード同一価格)で販売していました。インフォシークジャパンもサーチに連動したバナー広告を販売していて、これは特定業種にはものすごく効果が高い、というのは肌感覚としてわかっていました。なので、後にGoogleに移るときにある程度の勝算はこの時点で見えていましたね。

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この記事の著者

杓谷 匠(シャクヤ タクミ)

Jellyfish Japan株式会社 Data Strategy Director
2008年に新卒一期生としてグーグル株式会社に入社。2010年にスタートアップの立ち上げに参画したのち、しばらく川原でひざを抱える日々を経験。2013年からトリップアドバイザー株式会社にてSEMアナリスト、BIアナリストを経験したのち、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/29 10:02 https://markezine.jp/article/detail/28768

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