番組制作と動画制作とでは、求められるノウハウが違う?
村山:今回の提携は、J:COMを揺さぶるインパクトがありましたよ。まず社内から動画制作についての問い合わせがプルークスに殺到しています。これには、J:COMの現場でも、広告クライアントを含めた各取引先からデジタル動画の相談を受けていたという背景があります。
たとえば、自治体の観光課様などから「J:COMのコミュニティチャンネルで放送したイベントの映像を、動画にしてWebサイトで使えないか」という相談などがありました。
松浦:「J:COMは番組制作をしているのだから、デジタルの動画制作もできるでしょう?」という印象があるみたいなのですが……。長尺の番組と短尺の動画とでは、構成も作り方も違います。デジタル動画の制作に特化したノウハウは、J:COMにはありませんでした。
村山:ですから、プルークスがグループ会社となり、デジタルの動画制作ができるようになったことは非常に意義があることです。さらに、実はプルークスのジョインをきっかけにJ:COMイノベーションプログラムという社内ベンチャー制度が生まれました。プルークスが新しい経験値をもってグループに加わったことで、社内にも新しい風が吹き始めましたね。
皆木:僕らも松浦をはじめとしたJ:COMからの出向メンバーに学ぶことの多い毎日です。ベンチャーと大企業の人材交流、両社の文化が交わる良さを実感しています。
デジタル動画と有料CS・BS放送は親和性が高い
皆木:続いて、具体的なJ:COMとプルークスでの取り組みについてです。実は、提携の話がある前から、両社で商品開発の実績があるんですよね。J:COMが運営するLaLa TVの情報番組に出稿いただくと、CM素材をプルークスが制作し、YouTubeやSNSでも配信するという、CMとデジタル動画をパッケージにした商品を提供しています。
村山:有料CS・BS放送とデジタル動画は、親和性が高いと考えています。その理由は、まずCS・BS放送では広告尺の自由度が高いということ。地上波は15秒/30秒のCMがメインですが、CSやBSは5分/10分とCMの尺を自由に設定できます。
ですので、Webの長尺動画や動画広告をそのまま放送することが可能です。また、CS・BS放送のCMと動画広告は単価も近しいので、メディアプランニングの点でも利点があります。
松浦:将来的にテレビCMも、視聴動向・属性などを基にプログラマティックで放送できる時代がくるでしょう。オンラインでCM素材の送稿や管理ができるようになると、放送とデジタルメディア両方に対応できますし、メディアプランニングが面白くなりそうですね。
J:COMのポテンシャルを基に、色々なチャネルを横断して、放送とデジタルのパッケージを展開できると提案の幅と深みが増します。そのような未来を見据えて、このタイミングで動画に関わっていくことに重要性を感じています。