ユーザーのインサイトを捉えたサービスを
デイビス氏に呼ばれてまず登壇したのは、高速バスサービスを提供するWILLERの磯田真理子氏。磯田氏はマーケターとして、乗務員やコールセンターの担当者など、ユーザーと直接関わる現場の声を聞くことを意識しているという。

「弊社では現在、出発の1週間前と前日に、LINEでユーザーにメッセージを送っています。すると、実は前日よりも1週間前のほうがユーザーの反応が大きいということがわかりました。SNS上で、『WILLERから連絡が来た。あと1週間で好きな人に会えるんだ!』『あと1週間で楽しみなイベントがあるぞ!』というようなコメントが多く見られて。これこそ、お客様のインサイトですよね。
価格競争の激しい業界ですが、価格競争に未来はありません。私たちは、たとえばLINEのメッセージであったり、乗務員からの適切な声がけであったりと、インサイトを捉えたアプローチによってお客様とのエンゲージメントを高めていきたいと思っています。そして、価格以外の理由でWILLERを選んでいただけるよう、これからもTrailblazerであり続けたいと思います」
重要なのは自分の直感を信じないこと
続いて登壇したのは、Ticketmasterのエグゼクティブ・ヴァイスプレジデント キャサリン フレデリック氏。Ticketmasterは米国のチケット販売会社で、予約から当日の会場入場までをオンラインで完結できることが特徴だ。
フレデリック氏は、データをどう行動につなげるかが今後のマーケティングにおける重要な点だと述べる。たとえば同社では、ユーザーの趣味嗜好・住んでいる場所に合わせて、メルマガやサイトの内容を変えているという。

「かつてのマーケティングは非常に一方通行的なものでした。ですが、今はお客様一人ひとりの期待に応えることができるようになりました。Marketing Cloudを活用すれば、たくさんのデータを集めることができ、一人ひとりに合ったアプローチが可能になります。自分の直感を信じず、ユーザー視点でデータを活用していくことが大切だと考えています」
デイビス氏が考える、マーケターに必要な能力とは?
イベント終了後には、デイビス氏への単独インタビューが実現した。デイビス氏は、キーノートで話をしていた3つのキーワードを改めて強調するとともに、マーケターには「謙虚さ」が必要だと主張した。
「マーケターにとって最も重要なスキルは、『謙虚さ』だと考えています。登壇された方々の発言には、まさに謙虚さが表れていたと思います。『ユーザー心理を決めつけ、自分たちがしてほしい行動を押し付けるのではなく、真のインサイトを理解し、ユーザーに寄り添ったアプローチでエンゲージメントを高めていく』。これこそ、これからのマーケターに最も必要な力なのではないでしょうか。
我々は、今後もTrailblazerの活動に貢献できるソリューションを提供することで、皆様の成功をサポートし続けていきます」