商品カテゴリーごとのオンライン購入率
果たして日用消費財の大部分をオンラインで買う未来が来るのだろうか。そんな疑問を抱く方もいるかもしれません。未来を先読みしていく期待も込めて、以降では“今既に”日用消費財をオンラインで買っている先駆け的な人たちの傾向を見ていきたいと思います。ここでは図表1で中央値より高かった人たちをHigh層、低かった人たちをLow層と定義します。
この人たちはどんな商品をオンラインで買っているのでしょうか? 図表2に商品カテゴリーごとのオンライン購入率を比べました。

High層で購入率が高かったのは「パーソナルケア」「基礎化粧品」「清涼飲料」「ハウスホールド」「健康関連品」という順でした。こだわりの日用雑貨を買ったり、水をまとめ買いしたりといった傾向が浮かんできます。
また、「紙製品」「アルコール飲料」「乳飲料」はLow層の購入率が全体平均と近くなっており、High層にこそ買われていることがわかります。紙製品のような低価格な日用雑貨や乳飲料のような日持ちしない食品までオンラインで買い始めるようになることが、生活者の買い方がオンライン化するシグナルになるかもしれません。
スマホ・PCでのECの使い方
オンラインで日用消費財を買うには、ECサイトを訪れる必要があります。生活者は日頃どのようにECサイトに触れているのでしょうか? 図表3にスマホとPCの時間帯別EC利用率を示しました。

High層、Low層、None層(日用消費財をオンラインで購入しない層)を比べると、スマホとPCのいずれにおいても、High層、Low層、None層の順に利用率が高くなっています。日用消費財をオンラインで買っている人は、それだけECサイトも頻繁に利用していることがわかります。
時間毎の傾向は層の間で似ていますが、デバイス間では傾向が分かれています。絶対量を比べると、ECサイトはPCで多く使われていることがわかります。PCでのECサイト利用は21時から22時頃の頂点に向けて朝帯からじわじわと上がっていく波形になっています。逆にスマホは時間帯毎の差が小さく、いつでも使われ得る傾向が見られます。PCと比べると、朝の立ち上がりが早く、夜の下がりは遅い、また、正午に伸びる傾向が見てとれます。
PCは多くの情報を処理できる操作性に優れたデバイスです。仕事から帰って一段落した夜の余暇時間にじっくりと買い物を楽しむ生活者像が想像できるでしょう。また、スマホは短時間で効率的に情報を扱えるデバイスです。通勤時間や夜寝る前、お昼休みといったスキマ時間に手軽にさくっとスマホでネットショッピングを楽しむ情景も浮かんできます。
一方、日用消費財をオンラインで購入しないNone層でもECサイトへの接触が一定以上あることもわかります。たとえば、「ECサイトは使うが、日用消費財はECで買っていない人たち」に焦点をあてて分析をしてみてもおもしろそうです。