カジノをメディアに
ピラミッドの形をしたホテルとして有名なルクソール・ホテル・アンド・カジノのデジタルサイネージを一手に引き受けているのが、米ラスベガスの地元企業のカジノ・チャンネル・ネットワーク(CCN)社だ。
フロントデスクの後ろにの壁に掲げられたデジタルサイネージには、ホテルのロゴやホテル内のレストランやショーの広告に加えて、大手自動車メーカーの広告などが表示される。となりのホテルとの連絡通路の入り口部分に大きなディスプレーを設置しているほか、ポーカーテーブルの角にも小さなディスプレーを設置し、広告を表示している。
1つのホテルのデジタルサイネージをすべて受け持っているため、全体のコーディネートも可能。入り口近くの大型ディスプレーでは、ショーの映像を大音量で流して入場客の目を引く一方で、フロントデスクのディスプレーからは音を出さないようにしている。「ラスベガスには全米、全世界から多くの人が訪れる。2日半でほとんどの宿泊客が入れ替わる。われわれのコンテンツは1月に200万人の観光客の目に触れます。デジタルサイネージはある意味マスメディアなんです。広告効果が非常に高いんです」とCCNのカレン・ゴールドさんは言う。
CCNは過去に、レコード会社と共同で新人女性カントリー歌手の売り出しキャンペーンを行っている。具体的には、大型ディスプレーで歌手の映像を流したほか、ホテル内のあちらこちらのデジタルサイネージで女性歌手の写真を頻繁に表示した。また電話の保留の音や、モーニングコールの音として、彼女の歌声が電話口から流れるようにした。またホテル内の売店でCDを販売。キャンペーン期間の最後には、フィナーレとして彼女のコンサートをルクソールホテル内で開催したという。まさしくホテル、カジノを1つのメディアとしてキャンペーンを仕掛けたわけだ。ディスプレーの所有、維持からネットワークの管理、コンテンツの製作までをCNNが受け持ち、ホテル側はデジタルサイネージの設置を許可するだけ。それで広告の売り上げの一部を受け取ることができる契約になっている。
世界の4大広告会社グループの1つ、Publicis Groupe傘下でデジタルサイネージ関連のテクノロジー企業MarketForwardの最高技術責任者Manolo Almagroさんは、「客を逃さないような場所、例えば、病院や歯医者の待合室、カジノやバー、スポーツ競技場などもデジタルサイネージの広告効果が高い」という。デジタルサイネージはこれらの場所をすべてメディア化するわけである。
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