People DMPが保有する7つのデータ
続いて、「People Driven DMPの進化」と題したプログラムが行われた。登壇したのは、電通のデータテクノロジーセンターに所属する貝塚康仁氏。People DMPはPDMにおいて欠かせないコアソリューションだが、同DMPも発表から1年経ち、大きく進化したという。

生活者を捉えたOne to Oneマーケティングを実現するには、データを蓄積しながら施策を改善していくことが求められ、その上でDMPは不可欠だ。その中でPeople DMPは、以下7つのデータから構成されている。
・Web/スマホ閲覧行動
・位置情報
・SNS行動
・チケット購入(音楽/書籍購入)
・購買行動
・属性、意識価値観
・テレビ視聴行動
また、これらのデータに関しては、2017年5月に施行された改正個人情報保護法に該当する、個人情報、匿名加工情報は一切扱っていない。特定性の低いパーソナルデータおよび統計情報を収集・提供している。
行動のかたまりをいち早く把握
People DMPの持つ特徴を語ったところで、貝塚氏は同DMPの進化におけるキーワード、「トリガーモーメント」について明らかにした。トリガーモーメントとは、コンバージョンにつながる引き金となる、きっかけや兆しを行動データの中から見つけ出すというもの。
これまで、コンバージョンしやすそうなオーディエンスをDMPから見つけ、ターゲティングするのがDMPを活用した一般的なアプローチだった。これに対しトリガーモーメントは、これまでのアプローチに加え、ターゲットごとのサイト閲覧行動などからコンバージョンにつながるきっかけを探し出すという。

「たとえば、デートに関連するコンテンツをWebで5回以上見ているユーザーがいた場合、そのユーザーにおけるデートスポットの需要が高まっているといえます。もしこの需要の高まりを察知できれば、翌週にテーマパークのチケット購買を促すといったことが可能になります。このように、ある1つの行動ではなく、行動のかたまりが現れた瞬間がトリガーモーメントとなっております」(貝塚氏)
電通はこのトリガーモーメントを通じて、まだ商品やサービスを検討していない日常期にいち早くアプローチする狙いだ。というのも、これまでのマーケティング技術があれば、商品検索、サイト閲覧といった検討期に入っている生活者を特定するのは容易だ。その分、検討期に入った段階の生活者へのアプローチは、他社との競争に巻き込まれる可能性も高い。電通はその競争に入る前の日常期に潜む、トリガーモーメントを見つけ出そうとしているのだ。