マネタイズが難しいSNS
佐藤:2000年代は多くのSNSが登場する一方で、途中で方向を転換してソーシャルゲームの世界に移っていくサービスも多かったです。上場してさらに成長を加速するために違う事業を始めたりしていきました。Friendsterも現在はソーシャルゲームに落ち着いています。マネタイズの決定打がソーシャルゲームになっていきましたね。
コミュニティというのは人の営みが吐き出されるところですから、犯罪を助長するようなトラブルが出てきたりするので運営に大変な労力がかかります。また、そのようなWebサイトは広告主にとって安全に広告を出稿できる場所ではないと敬遠されがちで、大きな収益化が難しかったのだと思います。トップページはバナー広告でなんとか収益化できても、トップ以下のページの収益化はかなり難しかったと思います。
2003年に登場したGoogle AdSenseを導入することでトップページ以下のニッチな内容に沿った広告を配信できるようになって収益化ができるようになり、彼らも助かったことでしょう。ただ、それでもサービスを維持するための売上には到底及ばなかったと思います。初期のFacebookもマネタイズにかなり苦労していたのではないでしょうか。
Facebookに運用型広告を取り入れたシェリル・サンドバーグの功績
佐藤:そんなマネタイズの難しいSNSの中で、Facebookが初めて運用型広告を取り入れて成功させたのはとても大きいポイントだったと思います。 個人的にはFacebookのマネタイズの試行錯誤を語ることがSNSの広告の歴史を語るのに相応しいのではないかと思っています。
Facebookの運用型広告はシェリル・サンドバーグとデイヴィッド・フィッシャーというGoogleの中小企業向けの広告サービスであるAdWordsのセールスを統括していたNo.1、No.2が移籍したことで大きく前進したのではないでしょうか。Facebookの運用型広告が発展した背景にはAdWordsで培った経験が大きかったのではないかと想像しています。同時に、GoogleとFacebookではプラットフォームとしてはまったく種類が異なるものでしたから、そこの試行錯誤は大きいものがあったのではないかと思います。
佐藤:Facebookの場合、ユーザーは自分の領域に足を踏み入れられる感覚があるので、ユーザーの広告への拒絶反応はGoogleよりも大きいはずです。Facebookがこのバランスをうまく取りながらSNSの中で運用型広告を立ち上げたというのはインターネット広告の歴史を語るうえで重要なポイントだと思います。
