SNS漫画家を起用したインフルエンサーマーケティング
――本連載では、様々な広告手法の効果と活用法について聞いていきます。御社では、SNSで拡散力を持つ漫画家・イラストレーターを中心としたクリエイターのマネジメント・エージェント業を展開しているとのことですが、その具体的な内容を教えてください。
中川:wwwaap(ワープ)では、SNS上で1万人以上のフォロワーがいる漫画家を起用して、企業の商品・サービスを紹介するインフルエンサーマーケティング事業を展開しています。
2010年に大手インターネット広告代理店に新卒入社後2013年より漫画アプリ「GANMA!」を運営するコミックスマート株式会社の創業メンバーとして漫画編集部とアプリマーケ部を立ち上げる。2016年SNSで人気の漫画家のマネジメント・キャスティング事業を営む株式会社wwwaap設立(旧株式会社Xavier)。マーケティング支援事業の他、海外を中心としたキャラクター事業やアート関連の事業を展開中。2018年7月より初のオリジナルアニメ「カエル王子といもむしヘンリー」をTOKYOMXにて平日毎日放映中。
中川:昔から『漫画でわかる◯◯』という書籍も多くあるように、漫画には「わかりにくいものを、わかりやすく伝える力」があります。また漫画というだけで、「ちょっと読んでみようかな」と思わせる、「コンテンツへの導入ハードルを下げる力」もあります。この漫画の強みは、多くの広告主が持つ「知ってもらいたい」「理解し興味をもってもらいたい」という課題を解決するソリューションになると思っています。
漫画広告自体は昔からありますが、当社の強みは、SNS上で人気の漫画家を起用しているという点です。彼らにフォロワーがたくさんいるのは、彼らが有名な漫画家だからではなく、「作るコンテンツがおもしろいから」です。当社は、ただ漫画を使って広告を作るのではなく、漫画を使って「人々にとって魅力的なコンテンツ」を作っていると自負しています。
「コンテンツに興味をもってもらえない」問題を解決
――「まず知ってもらいたい」という課題は、漫画家だけではなく、他のジャンルのインフルエンサー起用によっても解決するのでは?
中川:インフルエンサーマーケティングの共通課題として、フォロワーの一番の興味は基本的に「インフルエンサー(=人)」そのものであるため、「商品・サービス(=コンテンツ)」に興味をもってもらえないということがあります。
たとえば、インフルエンサーとしてモデルさんが起用されるケースは多いですよね。紹介する商品が、モデルさんの人気(=フォロー動機)を形作る「美しさ」に関する化粧品やダイエット食品、ファッションなどであれば効果的であるケースは多々見られます。しかし、フォロー動機と連動していない、商品・サービスをPRした場合、コメント欄には「◯◯(モデルさんの名前)さん、かわいい!」「髪型変わった?」というような、あくまでインフルエンサーに関するコメントが多く、商品・サービスに着目されないケースを見かけることがあります。
一方で、SNS漫画家のフォロワーは、「漫画家(=人)」ではなく、「漫画(=コンテンツ)」へ興味をもってフォローしているので、コンテンツの内容そのものに反応してくれるのです。