MAは広告の無駄もなくせる
異なるルートでメッセージを伝える手段の一例としてポップインサイトが実際に行っているのが、ブラウザポップアップとプッシュ通知だ。Webサイトを閲覧していてユーザーがスクロールを行うと、ポップアップを表示する。また、サイトを訪れたユーザーから許可を得ることでブラウザ上にプッシュで通知を送れる機能も利用している。ポップインサイトの実績では、ポップアップは数%程度がクリック。プッシュ通知も1%程度が許可し、うち20%程度がクリックしてくれる。「たとえば、プッシュ通知をクリックしてくれたら次にどうするかをシナリオにし、MAツールで管理します」と池田氏は説明する。
MAツールの活用は顧客体験を向上するだけでなく、マーケティングコストの削減も実現できる。たとえばGoogle検索の1回目の広告に反応したユーザーがWebサイトを訪れ、ポップアップやプッシュ通知を表示してコンバージョンがあれば、以降はそのユーザーに繰り返して広告を表示する必要はなくなる。これで広告の無駄をなくせるというわけだ。
キラーコンテンツから優良顧客をあぶり出す
より優良な顧客をあぶり出すには、キラーコンテンツを用意すると良いとも話す。「たとえばキラーコンテンツを見てくれたら、すぐにポップアップやプッシュ通知を行います。さらにはそこからすぐに、電話をかけアプローチするのです」と池田氏。
これはスコアリングの1つの方法で、キラーコンテンツ閲覧のスコアを高くすることになる。コンテンツを見た結果をMAツールに記録すると同時に、MAツールの機能でトリガー通知を行い営業担当が電話をかけるのだ。その上で、電話でコンタクトした結果もMAツールに再び入力できるようにしておく。このような地道な活動の繰り返しでデータを蓄積すれば、どのシナリオが効果的だったかが明らかになる。
シナリオの実践の結果を理解するためにリサーチを行う
ステップ3では、インプリされたMAツールを活用してマーケティングのPDCAを実際に回す。MAツールがあればシナリオを実行し、結果を定量的な数値で比較することが容易となる。とはいえ、実施したシナリオごとに結果が異なるのがなぜかまではわからない。それを明らかにするには、定性的な分析が必要になる。それには、顧客データベースに登録されている人たちに直接リサーチをかけると良いと池田氏は言う。リサーチは、SATORIの機能で簡単なアンケートをとることもできる。あるいは電話をかけ、直接顧客の声を聞くなども有効だ。謝礼などを用意し、信頼性の高いリサーチをすることが鍵となる。実際ポップインサイトでは、自分たちでは当たり前だと思いこんでいたところでユーザーに躓いていたことが、電話インタビューによって明らかになった。
最後に池田氏は、3つのポイントを整理した。1つめはシナリオをできるだけ多く見出し、たくさんのパターンのマーケティング活動を自動化するのがMAツールの役割と言うこと。2つめはシナリオの中で利用するコンテンツも、1つのメッセージに1つではなくなるべく数多く用意し、手を変え品を変えてコミュニケーションするのが有効だと言うこと。そして3つめが、複数シナリオを効果的に運用するには、MAツールに実装し効率的な管理をすることだ。これらを実践する人材が社内で確保できるならば、SATORIのようなMAツールを導入しすぐに有効活用できる。もし社内に人材がいなければ、ポップインサイトではコンサルティングサービスでサポートできる体制も用意しているとのことだ。