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リゾームマーケティングの時代

土俵際の既存放送ビジネス、起死回生の鍵はテレビ同時配信/プログラマティックTV/マイデータにあり


  民放テレビが岐路に立たされている。近い将来に既存のビジネスモデルが崩壊するのは明らかであり、今まさに次世代のビジネスモデルを描くタイミングだ。テレビ同時配信、プログラマティックTV、マイデータの三位一体で、民放テレビビジネスの未来を占った。

「古い業界を守ってほしい」に賛同は少ない

 日本民間放送連盟の大久保好男会長(日本テレビ社長)は先日、NHKの常時同時配信に絡んで、「基本的には抑制的にやっていただきたい」と発言したらしい(参考:ITmedia News)。

 難しい舵取りだとは思うが、おそらく、ユーザーファーストという視点でいえば、同時配信は多くの生活者にとって便利であり積極的にやるべきこと。それは、大久保氏もわかっているだろう。

 一方で、既存の放送ビジネスを侵食するのは当然だから、自分たちのことを考えると、身内の論理を前面に出して「抑制的にやってほしい」となる。

 ただその発言は、古い業界を守って欲しいとお願いしているように見えて、多くの人が好意的には受け止めないだろう。その結果、民放に対して不信感を持つ人もいる。ある意味で、生活者を敵に回してしまう発言だ。

 というのは、公共の電波を使う企業は、国民を受益者として第一に考えるべきだからだ。自分たちの身内の論理で、自分たちの金儲けや生き残りのために発言するのは、筋が通らない。国民を第一に考えた経営をしないのなら、「電波を返上しろ」と言われかねない。本人もわかっているとは思うが、大久保氏の発言は極めて危うい。

 だが、既存の民放テレビのビジネスをどうするか、次世代のビジネスモデルをどう描くのか。そのことに大久保氏なりの答えがないとすれば、このような内向きの論理を責めても仕方ないし、不憫でならない。

 そのような苦しい大久保氏の立場を理解して、今後の民放テレビのビジネスや公共の電波の使い方を、我々は考えないといけないのではないか。

 IoT時代、あるいは、society 5.0の時代、公共の電波の需要は高まる一方で、使える電波帯域は限られているはずだ。自ずと、自動運転や5Gなどの成長領域に電波を使うべきという議論になっていく。

 私がカウンセル兼フェローを務める電通総研には、総務省の会議などに参加・傍聴している人もいるが、彼らの話によれば、「視聴率も落ち続け、収益性が落ちる見込みの民放テレビという産業に、公共の電波を与え続けるべきなのか。自動運転車やIoT関連など成長産業に優先して電波を割り当てるべきだ」というような意見を持つ人も出てきているらしい。

 つまり、民放テレビが継続的に赤字になったら危ない。「国民の資産である公共の電波を、いつまで赤字企業に使わせるのだ?」と、そんな議論になってしまいかねない。

 そのような世論が形成される前に、あるいは、そのような意見を事前に封じるためにも、次世代のテレビのビジネスモデルを提示して、業界として前に進んでいる姿勢をアピールする時期ではないか。先手必勝、民放テレビ業界は、先手を打ったほうがいい。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/17 13:49 https://markezine.jp/article/detail/29377

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