成果を出す運用のポイント
基本的にはまずスポンサープロダクト広告の自動ターゲティングから運用を開始すると良いでしょう。自動設定では商品詳細ページに記載した情報を基にキーワードが自動選定されるため、スポンサー広告の特性をつかむのに最適です。
ただし、自動ターゲティングのみでは意識して出稿したい一般語や競合ブランド名・製品名などのキーワードには表示がされにくかったり、あまり出稿したくないキーワードにも表示されたりと、細やかなコントロールがしにくい欠点があります。このため手動ターゲティングも併せて使用していくと効果的です。その際は自動ターゲティングキャンペーンの「検索ワード」レポートを確認し、登録キーワードや入札単価を検討します。
注意すべきは、Google広告など他社の検索連動型広告で使用しているキーワードをそのまま入稿するパターンです。検索エンジンでの検索モチベーション・使用する言葉遣いとAmazon内での検索モチベーション・使用する言葉遣いは異なることが多いため、基本的なブランド名や商品名を除き、そのままコピーして入稿することはお勧めできません。Amazonで買い物をするユーザーはどのような検索ワードを使用するのか、「あわせ買い」やECならではの「まとめ買い」ニーズなどもしっかり調査し、自然検索での掲載状況も併せて戦略を練りましょう。
また、収益性が低い商品は自動的に広告掲載が止まってしまう、カートボックスを他の出品者に奪われることもあるというスポンサー広告ならではの特徴もあり、収益性やカート獲得率をいかに上げていくかという工夫も必要です。キーワードや入札単価の調整などの運用だけでなく、出品戦略でも明暗が分かれるため、必要に応じて対象部門と協力を図ることをお勧めいたします。
スポンサーブランド広告や商品ディスプレイ広告は現状、実際の検索ワードやターゲット別実績を確認するすべがないため、運用難易度はスポンサープロダクト広告よりもやや上がります。このため筆者は同内容を予めスポンサープロダクト広告で実施し、狙うべきターゲットの参考にしています。こういった意味でも、はじめにスポンサープロダクト広告を開始することがおすすめです。
また、スポンサーブランド広告ではAmazonストアというブランド専用ストアページをランディングページに指定することができるのも特徴で、シリーズ商品やブランド別など商品点数が複数ある場合、スポンサーブランド広告×Amazonストアの組み合わせが非常に効果的です。

Amazonに出品している商品を階層立てて並べたり動画を配置したりすることができるため、新商品の発売開始時の告知、クロスセル・アップセルだけでなくブランディングにも適しています。
さらにAmazonストアは独立したURLで作成されるため、外部から集客してAmazonでの購入を促進することも可能です。AmazonDSPだけでなくGDNやFacebook広告などのリンク先として使用するほか、メールマガジンやソーシャルアカウントなどで紹介することで自社のECサイトがない・あまり力を入れられない場合でもAmazonのみで売上を上げることができます。Amazonストアの作成自体は無料でできるため、スポンサー広告出稿時はぜひストアも作成し、活用することをお勧めいたします。
スポンサー広告は仕組みとしては他社の検索連動型広告やディスプレイ広告に近いものが多く、既に運用した経験のある方であればほとんど違和感なく利用することができるでしょう。しかし、広告媒体の1つとして侮ってしまうと今後出稿者が増えていくに従い、期待する成果を上げることはどんどん難しくなっていくことが想像に難くありません。Amazonという1つのECサイト内での1つのマーケティング手法であることを忘れずに、ユーザー心理や行動、競合他社の動きを丁寧に分析して臨むことがスポンサー広告との上手な付き合い方だと考えています。(※2018年9月上旬時点)