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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

統括編集長インタビュー

「ZARA、Amazonを抜きたい」 ストライプインターナショナルが描く独自プラットフォーム戦略

ロイヤルカスタマーを育てるための店舗

押久保:その転換は、かなり完成されてきた感じですか?

石川:そうですね、対外的に公表したのは2015年ですが、リテールとプラットフォーマーの合わせ技でどういうデータが集められるだろうか、などと考え始めたのが12~13年ごろでした。

 ちょうどスマホ元年といわれたりしていたころで、EC化率がどんどん伸びて、シェアリングサービスの兆しも出てきて。それで舵を切って5年ほど経ちますが、ようやく形が見えてきたというのが実感です。

押久保:ECは急速に普及しているものの、やはり店舗もある業態だと未だにEC化率は10~15%程度に留まっていますね。方や、まだECを始めていない事業者は、オンラインの潜在顧客を獲られていくだけというジレンマを抱えています。

石川:多くのアパレルメーカーは、100人の店舗顧客を15人ECに流しているだけで、母数は変わっていないというのが現状です。本来、オンラインで新たに獲得しながら双方の行き来があって、母数はトータルでプラスになることを目指さないといけない。

 で、店舗を持たないプラットフォーマーはどうしても体験が乏しいので、圧倒的にCVRが低いです。それだけでなく、ロイヤルカスタマーを育てる場がないので購買回数やエンゲージメントが上がらない。

 だから皆、そこのエンゲージメントスコアを含め、ロイヤルカスタマー度を測るKPIを追いかける時代になると思う。そのためのリテール参入でしょう。エンゲージメントを抜きにした、EC化率や取扱高を強調するトレンドはもう終わってきていると思います。

縦横無尽な発想の根底にあるのは恐怖

押久保:なるほど。すると国内プラットフォーマーもリテールに乗り出す動きが?

石川:あるかもしれないですね。ただ、そのノウハウがないので、ジョイントベンチャーをつくったりするかも。僕らも、要請があればパートナーとして組むことも視野にいれています。店のつくり方からスタッフ教育まで、全部わかるので。

押久保:それは新しい!

石川:また違う見方をすると、僕らの店舗をメーカーやアプリ事業者などにロイヤルカスタマーを育てる広告チャネル、メディアとして活用いただいてもいい。今、若い人はフィッティングルームで自撮りをするので、その壁紙で化粧品の新商品を訴求するとか、スタッフからアプリを勧めるとか。それでスタッフにインテンティブをもらうと、Web広告より効率的かもしれないです。

 あるいはたとえばアース(earth music&ecology)なら年齢層がかなり広がっているので、20代にリーチしたいならアトレとルミネの店舗で商品サンプリングを、などいくらでも提案できます。

押久保:縦横無尽ですね。いい意味で、こだわりのない柔軟な姿勢が印象深いのですが、そうなれる要因は何だとお考えですか?

石川:抽象的ですが、日々、怖いんですよね。たとえばアースが今は好調ですが、いつ終わるのか。この20年ずっと斜陽の国内アパレルが、いつ終わるのか。スタートアップの「メチャカリ」も、本当に見込みどおり離陸するのか。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/05 12:00 https://markezine.jp/article/detail/29516

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