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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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統括編集長インタビュー

「ZARA、Amazonを抜きたい」 ストライプインターナショナルが描く独自プラットフォーム戦略

 宮﨑あおいのテレビCMでファッションブランド「earth music&ecology」が一躍知名度を上げたのが、2010年のこと。同ブランドを運営するストライプインターナショナルは創業25年目の現在、国内に30ブランド1,000店舗を有しながらグローバルへ進出、またファッションレンタルや他社を交えたECを展開し、さらにアリババと協業するなど、SPAとプラットフォーマーという2軸を持つ独自路線をひた走っている。近い将来の上場も視野にいれる石川康晴社長に、現在のスコープと今後の展望を聞いた。

アパレルから「ライフスタイル&テクノロジー」企業へ

株式会社ストライプインターナショナル 代表取締役社長兼CEO 石川康晴氏
株式会社ストライプインターナショナル 代表取締役社長兼CEO 石川康晴氏

押久保:御社は2015年、事業領域を「アパレル」から「ライフスタイル&テクノロジー」へ転換すると打ち出されました。MarkeZineとしては、サブスクリプションのファッションレンタルサービスも興味深く、またアリババとの協業によるデータ戦略にも注目しています。まず、現在の事業の柱をうかがえますか?

石川:柱としては、国内アパレル、海外アパレル、そしてプラットフォーム事業の3つがあります。まず国内では約30ブランド・1,000店舗を展開しており、現状の当社の大きな収益源となっています。

 海外では2002年の香港でのフランチャイズ展開を皮切りに、08年に台湾で、また11年に中国で現地法人を設立し、現在はベトナムやインドネシアなどへも進出しています。特にベトナムは好調で、当社が上場をにらんでいる2020年までに、現在の純利益を2倍に引き上げたいと考えています。

 プラットフォーム事業では、15年にローンチしたファッションレンタルの「メチャカリ」が黒字間近です。他社ブランドを含む、マーケットプレイスのプラットフォームが黒字化することで、当社の評価も変わるのではと思っています。

押久保:今年2月には、ソフトバンクとの合弁会社で百貨店型のECもスタートされていますよね?

石川:ええ、F2層をメインターゲットに、ハイブランドを集積したECサイト「ストライプデパートメント」をオープンしています。当初から600ブランドを集められ、順調な滑り出しです。黒字化まで数年かかると見込んでおり、その間に数十億円規模で投資するつもりですが、突っ込み切って離陸させたいですね。

リテールとプラットフォーマーが接近している

押久保:グローバルでSPAの基盤を持ちつつ、自社オムニチャネルではなくマーケットプレイスでのプラットフォームを持ち、またシェアリングエコノミーによるサブスクリプションという要素も有しているという……。

石川:それがアパレル出自だというのは、世界的にもきっと例がないと思います。グローバルSPAでプラットフォーマーという2軸を持った、ライフスタイル&テクノロジー企業へと今ストーリーを描いているところです。

押久保:インタビュー記事などで、もともと“路線転換”を事業全体のキーワードとして掲げていると話されていました。ただその中でも、アパレルからライフスタイル&テクノロジーへというのは、軸足を変える大英断だと思います。その意志決定の背景に、どういう危機感があったのでしょうか?

石川:路線転換は、もともとセレクトショップだったのをSPAへ、また雑誌でのブランディングがメインの時代にテレビCMを打つなど、当社の事業に常にあった概念ですね。

 ご質問の危機感については、やはりアリババの「T-mall」の勢いや、バーバリーのCEOがアップルの小売事業の責任者に就任したり(参考情報)、あるいはAmazonがスーパーやコンビニ事業に参入したりといった動きはみていました。ひとことでいうと、プラットフォーマーがリテール側に動いている。じゃあ僕らはその逆、リテールからプラットフォーマーへ動いていこう、と。

押久保:異種格闘技戦の様相ですね。

石川:ええ。プラットフォーマーからリテールを始めた会社 vs リテールからプラットフォーマーになろうとする会社、という構図です。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/05 12:00 https://markezine.jp/article/detail/29516

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