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ネスレ石橋氏、イトーヨーカ堂富永氏が考えるマーケティングの本質 激しい変化でも見失ってはいけないこと

2018/11/13 09:00

 新しいキーワードが出ては消えていくマーケティング領域において、また激しく変化している市場環境や消費者の環境を踏まえて、今マーケターはどのような視点で消費者に向き合うべきだろうか? 2018年10月4日、5日に開催された「アドテック東京2018」の公式セッションでは、ネスレ日本CMOの石橋昌文氏、そして9月からイトーヨーカ堂に参画している富永朋信氏という名のある2人のマーケターを迎えて、両氏の考えるマーケティングの現在地と消費者へのアプローチが明かされた。

マーケティングとは顧客の問題解決

 「“マーケティング”が終わる?」という少々煽り気味のタイトルが冠された本セッションに登壇したのは、2人の熟練マーケター。あらかじめ決まっていたというこのタイトルについて、モデレーターを務めたインサイトフォースの山口義宏氏は「“終わる”と提唱していたらしい人物たちが皆、登壇を断ったと聞いている。当然このお2人も終わるなどとは思っておられない」と紹介する。

モデレーター:インサイトフォース株式会社 代表取締役 山口義宏氏
モデレーター:インサイトフォース株式会社 代表取締役 山口義宏氏

 両者の現在のスコープを知ろうと多くの来場者を迎えたセッションは、まず「マーケティングにおいて変わったこと、変わっていないこと」という問いからスタートした。

 石橋氏はマーケティングの定義について、「顧客の問題解決を通して付加価値を作ること」と自身の考えを示す。

 「変わっている点でいうと、確かに新しい手法が出ては消え、メディアもトラディショナル一辺倒からデジタルが広がるなど変化は激しい。ただ、顧客の問題解決という根本は変わらないし、どれをどう捉えるかというアプローチがマーケティングの本質であると考えている」(石橋氏)

ネスレ日本株式会社 専務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー 石橋昌文氏
ネスレ日本株式会社 専務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー 石橋昌文氏

 かたや富永氏は「マーケティングが終わるのかという問いの立て方は、教育が終わるのか、という投げかけに似ている」と述べる。たとえば教育の現場では、校内暴力や親子間の争いなどのクリティカルな問題をはらんでいるのは事実だが、世の中に子どもが生まれて大人から何かを学んでいく以上、教育そのものが消滅することはない。

 同様に、マーケティングもテレビの効力の低下や広告詐欺の増加などの問題はあれど、消費者が購買行動をする行為がある限りは終わらない、というのが富永氏の考えだ。

株式会社イトーヨーカ堂 営業本部 本部長補佐 富永朋信氏
株式会社イトーヨーカ堂 営業本部 本部長補佐 富永朋信氏

 「私はマーケティングを『お客様の認知や態度や行動の変容に関わることすべて』と思っているが、石橋さんと私のどちらの定義を持っても、マーケティングは人が何かを欲しいと思ったり買ったりする限りはついて回る。枝葉の問題は時代によって登場と消滅を繰り返すだろうが、根本は変わらない」(富永氏)

自身のビジネスにとっての「新しい現実」を把握する

 次の問いに挙げられたのは、デジタルを中心に様々な手法が登場したり新たな課題が生まれたりする中で、現在進行形の消費者の姿をどう捉えるか。

 石橋氏は、カテゴリーやブランドによってターゲットとなる購買者が変わることから、消費者自体に焦点を当てるというよりも、自分のブランドのビジネスとターゲットを取り巻く社会環境や経済環境の変化を見るようにしているという。これを同氏は「新しい現実」という言葉で表現する。

 その環境変化は“ギブンコンディション”(与えられた条件)であり、当然新しい課題を連れてくることがある。「その課題を捉えて解決を試みると、新しいイノベーションが起きるのではと考えている」と石橋氏は解説する。

 その「新しい現実」を見つけるには、取り立てて調査をするというよりも、最近の一般的な情報をもとにすることが多いという。たとえば今では一定規模の事業に成長した「ネスカフェ アンバサダー」も、家庭外でのコーヒー消費の伸長に着目したことが起点になっている。

 元々ネスカフェは家庭内の消費に強く、逆に家庭外でのシェアは高くはなかった。そこに、高齢化が進む中で60歳を過ぎても外で働く人が増えたこと、また共働きの浸透もあって、昼間に在宅する人自体の減少という変化が起きていた。

 「これが我々にとっての『新しい現実』。既存路線だと苦境となるが、逆に『家庭外でどうやって消費を増やすか』という課題として捉えた。ある情報を理解してインテリジェンスとし、そこから課題となる仮説を作るプロセスにはスキルが要るかもしれないが、常に自分のビジネスを考え続けていると、気づきがあるだろう」(石橋氏)

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