「銀行」というブランドのイメージ刷新に貢献
――現在はキャラクターが男性のみで、ATM設置場所も都内4ヵ所限定です。Twitter上では女性声優の起用を望む声も見受けられます。今後、別バージョンの追加・アップデートや、ATM設置場所の拡大といった予定はありますか?
長沢:現在は当社のオリジナルキャラクターのみですが、今後は、様々な企業に参画いただくことも視野に入れています。目指しているのは、多岐に渡るコンテンツを我々のATM上で展開していくことです。ユーザー1人1人に応じて登場するキャラクターが変わるといったことも実現したいと思っています。

――『セブンコンシェルジュ』の提供で、実際にターゲット層のATM利用率は向上しているのでしょうか?
長沢:今回の施策では、全キャラクターの音声を聴くためにはセブン銀行口座の所有が必須となっています。そのため、全体で見ると利用率の向上は限定的です。ただ、メディアへの露出や話題性という観点では、プロジェクトとして一定の目標は達成できたと考えています。
具体的には、地上波テレビから5局、他にも新聞社やネットメディアから多数の取材オファーがありました。ここまで取材の依頼が集中したケースはこれまでほとんどありませんでした。他にも、採用面接時や取締役・監督官庁・取引先などとの会話で何度も話題に上がるなど、数値化が難しいですが、当社のブランド価値の向上に大きな効果があったと感じています。
入念なペルソナ設定が口コミを生む
――『セブンコンシェルジュ』に対して、ユーザーからはどのような声が上がっていますか?
長沢:ネガティブな反応は、予想より少ないです。当初、該当ATMはターゲット層ではないユーザーの方々からは敬遠されるのではないかという懸念がありました。それでも、ATMの利用を途中で止めてしまうといったことはありません。ネット上での炎上もリスクとして想定していましたが、現時点ではそういったことも起きていません。
――最後に、MarkeZine読者のヒントになるような有益なアドバイスがあればお願い出来ますでしょうか?
長沢:今回は、「入念なターゲットの絞り込み」と「意外性」が、話題喚起に有効だったと考えています。また、ターゲット層の期待を裏切らないクオリティへのこだわりがポジティブな評価につながったのではないでしょうか。
――どうもありがとうございました。
堅いイメージを持たれがちな銀行がイケメンキャラを使った施策を行うことは、ユーザーの間でも大きな驚きとなったのではないでしょうか。ただ、ネット上での話題に比べ、ATM利用数や口座開設数といった本来の銀行業務における指標への貢献は限定的だったようです。数字における変化よりも、銀行の既存イメージを覆すような施策を実行したことで、ブランド価値の向上の面で大いにプラスになったと思います。セブン銀行が仕掛ける意外性に富んだコラボには今後も目が離せません。