Instagramのクリエイティブで重要な「たった3つの原則」
さて、イベントでは、現場マーケターに向けたInstagram活用の具体的な改善方法も豊富に提供された。
中でも、多くのマーケターが共通して活かせそうだったのが、Instagramのクリエイティブストラテジストである栗山氏が発表した「Instagram上で効果を上げるクリエイティブの3つの原則」だ。

栗山氏らは、パフォーマンスの良いクリエイティブにある規則性を見つけるため、2017年にInstagramで実施したすべてのキャンペーンをリストアップ。それらをいくつかの条件で絞り込み、1つのアドセットの中で効果が良かったものと悪かったものを比較して、クリエイティブにおける規則性の仮説を立てた。その中から信ぴょう性のある仮説のみをピックアップし、さらに、効果の良かったすべての広告に共通するものを抽出してみると、たった3つの仮説しか残らなかったという。その3つが下記だ。
1. シンプルで具体的なワンメッセージ
2. ユーザーにとってのベネフィットが明確である
3. メッセージとビジュアルに一貫性を持たせる
いずれも大げさなことではない故、現場でもすぐに参考にできるのではないだろうか。また、ストーリーズの場合は、これら3つにプラスして「アクションを誘発するための動線設計を強化する」ことが大事だという。
「モバイルの世界での1秒間は、とても長い」と栗山氏。2001年の人間の脳の情報処理能力速度の平均値は0.3秒だったが、2014年にはこれが0.03秒にまで速度が上がっている。これは、スマートフォンの登場で我々自身の情報処理能力が高まったからではないかと言われているそうだ。さらに、フェイスブック ジャパンが行ったテストでは、ほとんどの広告が1秒ほどしかエンゲージメントできていないことも判明。モバイル広告に関して、いかにスピーディーな世界で戦わなければならないかが、よくわかる。
栗山氏は「モバイル環境の変化を理解した上で、紹介したティップスを基にクリエイティブを作成してほしい」と、会場のマーケターに呼びかけ、自身のパートを終了した。
効果を上げたいなら、Facebookのアルゴリズムを最大限活用せよ
最後に、フェイスブック ジャパンで広告主向けのデジタルマーケティング支援に従事している丸山氏によるパート「Instagramのパフォーマンスを最大化するポイント」の内容を共有する。

丸山氏は、主に「データ・SDKのセットアップ」と「キャンペーンの正しい設定方法」におけるポイントを解説した。それぞれのポイントにおけるティップスは、下記の通り。
データ・SDKのセットアップについて
1. Facebookピクセル、SDKをもれなくムラなく設置する。データ量を増やして、質を高める
2. 関連アプリ、関連WebにFacebookピクセルとSDKの両方を設置する
3. 自動詳細マッチング機能を活用する
そもそも、Instagramの広告には、Facebookとまったく同様の配信システムが働いている。そのため、InstagramでのCVを改善するには、Facebookと同じく、機械学習の力を最大限に活用することが重要。つまり、アプリとWebの双方からより多くのデータをFacebook社に返すことで、広告の最適化が進む。
また、新たにローンチされた自動詳細マッチング機能を活用すれば、アクションデータに電話番号やメールアドレスといったユーザーデータも追加されたものを利用することができるため、さらに機械学習のボリュームは広がる。
キャンペーンの正しい設定方法
キャンペーンを細かくしすぎず(Fewer)、シグナルの量と質を増やす(Bigger)。予算を自動化する(Better)。
Facebook社のオークションシステムには、「Fewer Bigger Better」という3原則がある。ありがちなキャンペーン設定の間違いパターンとして、セグメントを細かくかけすぎることがある。が、Facebook社のアルゴリズムを最大限活用するには、オークションの基本原則に基づき、1アドセット単位でより多くのデータを返すことが求められる。
具体的には、1アドセットにつき、日当たりで15CV(理想は50CV)以上のCVデータを返すことで、キャンペーンは最適化される。これを実践するためには、全体の予算を上げる、入札単価を上げる、Facebook社のファミリーアプリをすべてオンにして自動配置機能を活用するなどの対策がある。
これらのポイントを押さえ、キャンペーンが綺麗に整った暁には、キャンペーンの予算最適化機能でより効率的に予算を最適化することも可能。キャンペーンの予算最適化機能では、アドセットあたりでなくキャンペーンごとに予算を最適化することができるため、よりパフォーマンスの高いアドセットに予算をかけ、全体のパフォーマンスを上げるための自動運用が実現する。
今回の「Instagram Day」は、自身も事業会社でマーケティングに携わっていた経験のある長谷川氏が、その頃に抱えていた課題や悩みをベースに企画されたもの。半日、Instagramだけに特化して深く学ぶことができるイベントとなっていた。