米国B2Bマーケティングにおける10のトレンド
セミナーの冒頭に登壇したのは、シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎氏。「日本企業の多くは、営業部門の力だけで海外市場への進出が果たせると考えています。しかし現実を見ると、マーケティング部門と営業部門がしっかりと連携していなければ、海外市場での成功は難しいでしょう」と、国外に目を向ける企業がマーケティング部門を強化していくことの重要性を説いた。
庭山氏に続いて登壇したルース・スティーブンス氏は、「米国B2Bマーケティングにおける10のトレンド」として、以下を挙げた(昨年2017年に同氏が紹介したトレンドはこちら)。
1. マーケティングツールの増加
2. GDPR遵守
3. インテントデータ
4. ABMの成熟
5. プロセスの効率化
6. ポッドキャスト活用
7. 動画での訴求
8. コンテンツ消費時間の増加
9. 有益な情報へのアクセスが困難に
10. マーケターの役割が拡大
1. マーケティングツールの増加
まず1つ目に挙げられる潮流は、「B2Bマーケティング領域でのツール」が増加しているということだ。マーケティングテクノロジーの発展は進み、現在はソリューション群でのパッケージだけでなく、単独のマーケティングツールも多く登場している。スティーブンス氏によれば、2011年時点で単独のマーケティングツールは約150個存在していた。2018年現在、その数は実に約6,800個にものぼるという。
また、「米国のB2Bマーケターが今後どのようなマーケティングアプローチを考えているか」という調査の結果は以下のようになった。
- ABM(アカウントベースドマーケティング):49%
- マルチチャネルでのリードナーチャリング:41%
- コンテンツプランニング:37%
- MA(マーケティングオートメーション):33%
一方で、スティーブンス氏は、マーケティングテクノロジーによって様々なツール開発がされても、それを上手く活用する人材が不足していることを指摘した。
2. GDPR遵守
2018年5月25日に欧州で適用開始となったGDPR(General Data Protection Regulation/欧州一般データ保護規則)は、米国市場においても影響を及ぼしているという(参考記事)。同規則を遵守しなければならないという機運が高まっている米国においては、新たに「データ保護責任者」などの役職を立てる企業が散見されるようになったそうだ。
スティーブンス氏曰く、米国ではデータ保護が脆弱で、消費者側もデータ保護に関して敏感になりつつあるという。こうした状況を受け、カリフォルニア州では消費者のプライバシー保護を目的とした法が成立(参考記事)。2020年以降に正式に施行される見込みだ。加えてアジア地域においては、ASEANも同様に消費者のプライバシー保護に関する取り決めを2020年までに締結することを表明している。