企業間のデータ連携など新たな取り組みも
――ここまでの話を踏まえて、最適なKPI設計のために意識するポイントはなんでしょうか?
梶井:お客様をしっかり理解することだと思います。ただ、これを追求していくと、KPIの細分化による弊害も出てきます。KPIを追いかけるのが困難になったり、施策を実行する現場の担当者が理解できなかったり、あるいは集計するにはハードルが高すぎて浸透しなかったりなどの問題が発生します。
ですので、まずは各部門や担当者に数字で説明してそのKPIを理解してもらうこと。理解してもらったら自分達でモニタリングをし、さらに分析までできる環境をセットで与えてあげることが大事です。ここまでできると、なぜこの数字を追いかけているのか、この数字が改善するとお客様の行動にどんな変化があるのか、さらには自分達の目指しているサービスにどうつながるのかを理解できます。細分化の弊害が出ないように、サポートすることが大事ですね。
――最後に、現在注力していることや今後の目標をお聞かせください。

梶井:デジタルマーケティングの領域では、「LOHACO ECマーケティング ラボ(以下、ラボ/参考記事)」に参画されている企業とのデータ連携に力を入れていきたいと考えています。たとえば、直近では味の素さんと一緒に取り組みを行いました。
味の素さんは、レシピや献立を掲載する「味の素パーク」というサイトを運営されています。その中では、“簡便派”“こだわり派”“作り置き派”など、独自の定義で料理に対する志向を属性化したデータと、大量のレシピや献立データが紐づけて管理されています。そのデータをLOHACOと連携することで、LOHACOのお客様に対しても、最適な献立がレコメンドできる仕組みを作りました。
具体的には、LOHACO内でお客様に簡単なアンケートに回答いただき、その結果を基に味の素さんの定義する属性とLOHACOでの購買行動を掛け合わせ、最適な献立をレコメンドするというものです。この連携により、どんな属性の人が、どんな献立に興味があり、どんな商品を購入しているかなど、自社データだけでは見えない新たなお客様像が見え始めています。
このように、今までバラバラに持っていた多様なデータを様々な企業と共に活用することで、新たな価値を生み出していきたいと考えています。
また、売り上げの拡大と顧客満足度の向上を目指し、品ぞろえも拡大していきたいですね。そのためには、PBやラボ参画企業と一緒に独自価値商品を創る取り組みを、積極的に展開していきたいです。