受注率が10%上昇。テレビCMで会社の成長を牽引
2015年にビズリーチへ入社し、ビズリーチのカスタマーマーケティングなどを経て、BtoBマーケティングに従事する杉内氏。同氏によると、ビズリーチがテレビCMをはじめて出稿したのは、2016年2月のこと。以降、少しずつ投下量を増やし、現在では毎月出稿する規模になっているという。その貢献度は、いかほどだろうか。
「関東圏の人事の方々におけるビズリーチの認知度は、2015年の調査では10%でしたが、2018年4月には79%と大幅に増加しました。また、関西の認知度も約50%まで増えました」
重ねて杉内氏は「事業のグロースにも大きく影響している」とした。テレビCM出稿以前と比べ、サービスの導入企業数は約2倍となり、累計では9,500社以上の規模に成長。さらに、ビズリーチ事業の売上は3.4倍、営業1人あたりの売上も3.2倍と伸長。そして受注までのリードタイムが約半分に短縮され、受注率も10%上昇しているという。
「テレビCMをきっかけに会社はさらに成長しました。しかし、その裏側にはテレビCMをはじめとしたプロモーション効果を最大化する、ビズリーチ流のビジネスマーケティングがあるのです」と杉内氏は語る。そのノウハウを、受注前の戦略・そして受注後のカスタマーサクセスと、2つのフェーズに分けて説明した。
成功に必要なのは「設計」「体制」「生産性」
まず、杉内氏は「BtoBマーケティングを成功に導くカギ」として「設計」「体制」「生産性」の3つを挙げ、それぞれについて解説を始めた。
設計は、Simulation/Visualize/Creativeの3視点に分けて考えていくことが重要だという。Simulationとは、広告の効果測定の設計を行い、施策を正しく振り返ることだ。ビズリーチではROASを中心に、独自の効果測定を定めている。
一部を紹介すると、たとえばインバウンド・アウトバウンドの受注件数は「CM効果押上リード数×平均受注率=受注数」。また、ビズリーチのリードとして獲得したが、他プロダクトの受注につながった案件はパス受注件数とし、「パス数×平均受注率=受注数」と計算した。
続いてVisualizeとは、様々な流入経路ごとの数値を可視化すること。そしてCreativeは、サイト・LP・メールなど、顧客ニーズにマッチしたクリエイティブのA/Bテストを続け、勝ちパターンを見つけることである。
ポイントは、広告ごとの効果範囲を定義して設計し、ボードメンバーと認識をすりあわせておくこと。ビズリーチでは、オンオフの各プロモーション、経路・チャネル別、訴求別に数字が管理できるよう、BIツールなどを導入。誰が見ても、同じ目線で理解できる数字を出すように設計している。