専門組織が生産性向上をサポート
BtoBマーケティング成功のカギの3つ目となる生産性だが、ここでは各担当部署を支援する2つの専門組織の存在が紹介された。
まず、マーケティンググループ直下にあるマーケティングオペレーショングループ。この組織では、各担当者が抱えていた優先順位が決められない煩雑なタスクを集約。コントロールタワーを決め、フローやタスクを整理し、適切なリソース配分とタスク管理を行っている。
結果、増員なしに様々な既存オペレーションの巻き取りや自動化が実現。工数が削減された分、インサイドセールスの対応スピードを上げ、効率化も推進することができた。
その実例として、リードデータのCSVをCRMへ取り込む作業の変換ツール開発を紹介。自動化することで、月間20時間ほどの作業時間削減とヒューマンエラーを防げるようになったという。将来的には、RPAなども検討しているそうだ。
そして、インサイドセールスグループに紐づくトレーニングチームでは、チームの生産性を向上させる研修制度やマーケティンググループと連携した施策を展開し、セールスのスキルアップをサポートする。
「インサイドセールスは、顧客のニーズを理解し適切な部署へパスをするオペレーション、営業スキル、ビジネススキルと幅広い領域のスペシャリストである必要があります。トレーニングにより、商談数や商談化率は向上しており、生産性の向上に貢献しています」
ユーザー会の成功が新規顧客を生む
後半からは、受注後のフェーズとして、ビズリーチが運営する採用管理システム「HRMOS採用管理」の事例をもとに、カスタマーサクセス(以下、CS)の重要性が語られた。
HRMOS採用管理のCSは、サポート&コミュニティ、オンボーディング、ユーザーサクセスの3つに分かれる。それぞれのチームに「顧客の採用成功にコミットする」ための明確な役割分担がなされ、導入期から継続期までのサポートを行っている。
さらに顧客を、エントリー・オンボード・アクティブ・ロイヤルの4つのステージに分け、ロイヤリティを可視化し、アプローチを設計。このステージ分類によって、注力顧客やタスクの優先順位が明確となり、継続予想をもとにしたシンプルなCS活動を実現している。

ここで重要なのは、「ステージの構想定義」と杉内氏。手元にあるデータをもとに、チャーン(解約)リスクの管理・課題設定を組み立て、運用しながら改善していく方法を提案した。
そして、CSの重要な業務として、ユーザー会の運営がある。HRMOSユーザー会の数あるメリットの中から、「HRMOSのエンジニアと話せる場であること」を挙げ、次のような効果を語った。
「エンジニアと直接コミュニケーションしたことが機能改善に反映されると、お客様の満足度は上がり、HRMOSの活用やユーザー会への参加がより積極的になります。ユーザー会へ参加する企業の継続率は1.5倍にもなるだけでなく、ロイヤルカスタマーがさらに新しい顧客を連れてくることもあります」
フルスタックマーケターがBtoBマーケをリードする
最後にまとめとして、これから求められるBtoBマーケター像について言及した杉内氏。今後は、セールスとプロダクト開発以外のすべてをマーケターが担う時代になると予想し、フルスタックマーケターのスキルセットが重要と語った。
フルスタックマーケターとは、TECH・クリエイティブ・ビジネスのスキルを併せ持った人材だ。そのスキル領域は、データやテクノロジーへの理解、クリエイターへのブリーフィング力など多岐に渡る。
それらの知識をもとに、ビジネスを俯瞰的に見ながら判断を行い、開発やクリエイティブなどのあらゆる部署とコミュニケーションできる力が求められる。杉内氏は「組織も個人も成長できる体制で、よりBtoBマーケティングを盛り上げていきたい」と語り、セッションを締めくくった。