「名刺のデータ化」で、埋もれているリードを発掘
2. 「自社認知あり・課題が潜在的」
次に、「自社認知があり、課題が潜在的な場合」に言及した浅野氏。具体例としては、「名刺交換したが成約していない顧客」などが想定される。こうしたステータスの顧客に対しては、名刺データを活用することでファネルの拡大を狙うことが重要だという。
「名刺交換をしても、7割の顧客はすぐに購入を行いません。中長期的なフォローが必要です。しかし現状では、この7割の見込み顧客を放置してしまっている企業がほとんどです。このような場合は、シンプルですが交換した名刺をデータ化し、Cookieと紐づけてデジタル上の行動と連動させる施策が有効です」(浅野氏)
名刺で顧客情報が補完できる体制を構築すれば、資料請求やセミナー参加といったコンバージョン率の向上も見込めると浅野氏は述べた。
「たとえば、資料請求のフォームには、アドレス入力欄だけを設置します。また、セミナーの申し込みフォームには、アドレス・会社名・氏名の入力欄だけを設け、最低限の情報のみを取得します。フォーム経由で取得する情報が少なくても、のちに名刺データと統合すれば顧客情報は補完することが可能です。入力事項を極力少なくすることで、フォームを最後まで入力していただける確率は上がります。
また、名刺をデジタル化した際には、過去の履歴接点が一覧性ある形で名寄せされ、その後も前述のデジタルおよびアナログの行動履歴が紐づけられます。そのため、営業活動に極めて有効なデータとして提供することができるのです」(浅野氏)
「リストを営業に丸投げ」していないか
3. 「自社認知なし・課題が顕在化」
3つ目は、「自社認知がなくて課題が顕在化」している顧客だ。この場合、MAツールなどを用いることで、デジタル広告や展示会でアプローチすることが有効だと浅野氏は述べた。
「MAツールを導入していない企業の多くは、展示会で獲得したリストの大半を活用できていないと聞きます。たとえば、『展示会に出展して獲得したリストを営業に丸投げする』などです。営業が主体となって、見込み顧客に対してアプローチするか否かを決め、商談を進める。そして、アプローチしなかったリストはそのまま放置、という状況にある企業がほとんどではないでしょうか」(浅野氏)
浅野氏は続けて、コンテンツとフォローの最適化にも言及。
「展示会後の“お礼メール”を素早く送信できていても、肝心のメールの本文を見てみると、製品を売り込むような内容がほとんどです。メールの開封は、必ずしも製品への関心を意味しません。まずは、展示会の内容に関係する文面やリンク先を用意することが重要です。メールを開封した顧客が、特別感を得られるような内容にするのは必須です。
また、お礼メール送付後、次のメールアクションがメルマガの周期にあわせて1ヵ月後になってしまう企業が多いですが、1ヵ月もすれば多くの場合は忘れられてしまいます。未開封者に対して、忘れられる前に漏れなくフォローし、関心のある方へより詳細な情報を届ける。こうした『やるべきだと思いつつも徹底できていないフォロー』を、MAを使った自動化で実現していくことが必要です」(浅野氏)