MarkeZine(マーケジン)

記事種別

“熱気の成分”をリアルタイムで捉える――若年層の心を掴んだ「an」の高速ソーシャル戦略

2019/01/21 10:00

クリエイティブのテストマーケティングにも応用

 実施施策に対する消費者の反応をリアルタイムで捉え、瞬時に次の施策へと反映する。このように、Social Studioがブランド認知拡大のPDCAサイクルを大幅に短期化し、迅速なフィードバックがもたらす絶大な成果が明らかになったことを受けて、同社は新たなソーシャル戦略の検討にも入っている。

 森氏は「今回の取り組みは、クリエイティブを本格展開する前のテストマーケティングにも応用可能と考えています。何案かをソーシャル上へ“プレ投下”して反応を探り、それらの人気が翌日・翌々日につかめるのは、制作サイドにとっては画期的なこと。どんどん試していきたいと思っています」と話す。

 森氏はさらに「今回マス7・デジタル3を想定したキャンペーン予算は、Twitter上の盛り上がりを受けて広告投下を追加した結果、デジタルのシェアが拡大しました。次回以降のキャンペーンで媒体選択を大胆に見直す可能性もあり、企画内容との相性や求人企業へのアピールなども加味しつつ、最適な構成の検討を進めています」と明かす。鮮明なエビデンスが、カスタマージャーニーの基礎となる顧客接点の配置、チャネル戦略を着実にブラッシュアップしていくようだ。

 その一方、Social Studio上で施策上重要なキーワードをどう網羅するか、また施策と関係しないノイズをどう排除するかについては課題も残っているようだ。亀田氏は「ファンの間だけで通じる用語をキーワードで取りこぼした場合、盛り上がりの実態を正しくつかめない可能性もあります。技術面ではSalesforce、そしてTwitterとのコミュニケーションを密に取りつつ、私自身もトレンドにしっかりアンテナを張り、キャッチアップを続けていくつもりです」と決意をみせた。

カスタマージャーニー研究プロジェクトチームのコメント

加藤:今回の取り組みで特徴的なのは、ソーシャルメディアの反応をリアルタイムに把握することで、マスとデジタルの投資配分の判断材料を得ている点です。また、可視化したデータをすぐに施策へと反映することで、高速PDCAを実現している点も特筆すべき点です。過去最高のブランドリフトを実現できた背景には、この2つに加えて、ターゲットセグメントの感覚を的確に捉えた非常に高いインサイトの連携があるのではないでしょうか。

押久保:テレビCMを絡めた施策の改善サイクルの遅さは、従来指摘されていました。その状況を打破し、ソーシャルの反応をリアルタイムで施策に反映、過去最高の反響を獲得したという今回の取り組みは、テレビCMとソーシャルを連携させた施策の成功事例として一つのお手本になるのではないでしょうか。事前に最適なプランなどなく、「リアルタイム」で反応を見つつ、「運用」していく発想が、より問われる時代になると確信しました。

カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
「カスタマージャーニー」、顧客の一連のブランド体験を旅に例えた言葉。デジタルやリアルの接点が交差し、顧客の行動が複雑化する中、「真の顧客視点」に立って、マーケティングを実践する重要性が増してきました。
カスタマージャーニーに基づいたマーケティングの必要性は、その認知が進む一方で、「きちんと“顧客視点に基づいたシナリオ”を作成し、運用できている企業はまだまだ少ない」多くのマーケターに意見を聞くと、そのように認識されています。
今回、押久保率いるMarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に、共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。その他の成功例はこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

関連リンク

All contents copyright © 2006-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5