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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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メディアの存在意義とは?コミュニティから広告まで徹底討論【電通総研オープンラウンドテーブル】


広告モデルの変化や新たな可能性とは?

徳力:論点を絞って、広告モデルの変化の可能性や予知について、議論しましょう。従来の広告は、ターゲットが絞られるほど、単価があがるのが論理的には理想です。しかし、特にネット広告は、残念ながらそうはなっていません。PVが多い広告枠を最高値として、それ以外の広告枠の価値が下がっていく現状があります。

 しかし、先ほどの藤村さんのお話しにもあったように、コンテキスト(文脈)に合ったタイミングで適切な広告を出せば、面は狭くても投資対効果でみると効果が高くなることは、理想的にはありうるでしょう。こういう流れを加速するために、我々は何ができるのでしょうか?

境(コピーライター/メディアコンサルタント):必ずしも広告の話ではないのですど、映画「カメラを止めるな」がヒットした時に、一番最初に映画館に来たお客さんは、ネットで騒いだ人たちではなく、新聞の映画評をみたオジサンたちだったと言われています。

 それが盛り上がっていくプロセスで、radikoが関係します。TBSラジオが「カメラを止めるな」を何回か熱狂的に取り上げた回があり、それがテキスト化されて、意外に後々読まれたそうです。これは広告ではないのですが、ミドルファネル的な働きをしたのだと思います。

 ミドルファネルにおける“気持ちを伝える”ような行為が、意外に重要なのではないでしょうか。昔は新聞や雑誌が、広告の意味でもPRの意味でも、ミドルファネルにおいて有効に機能していたのですが、今はこの領域がすっぽり空いています。ネット化した新聞や雑誌は認知のほうへ寄ってしまったので、ミドルファネルをどう作るかを、メディアはきちんと考えることが大事になるのでは。

徳力:最後にゲストフェローのお二人に、自分たちはこんな風にして、今日の議論のテーマを乗り越えてきたのか、アドバイスをいただけますか。

藤村:アドバイスにはならないと思うのですが、返本のある出版ビジネスをやりたくなくて、私は2000年に紙を使わないネットメディアを立ち上げました。その時にそれなりのルビコン川を渡ったと思ったのですが、PCからモバイルの時代になったように、こういったことは今後も度々起きるんじゃないかと思っています。繰り返し新しいことへイノベーションを仕掛けていけるか、これは僕だけでなく皆さんにも問われているかと思います。

樋泉:90年代にネットと出会った時に、ネットがマーケティングやコンテンツの流通を変えると直感的に思いました。ネットを味方につけないと、番組作りは進化しない。でも、言うだけでは解決しません。一人で全部できるとは思わないので、若くて読解力のある人にチャンスを与えるのが大事でしょう。今の時代、もともと持っているメディアの力を磨くことで、できることはたくさんあると私は信じています。

徳力:ここ数年はWELQ騒動やフェイクニュースといった事件があって、メディアにとってはネガティブな方向へふれた時代だったと思います。時代の変化の過程でルールも変わるし、今はカオスな状況ですが、メディアに関わっている人がある意味自負を持って、読者や視聴者の声を聞きながらコンテンツをつくっていくことで、道は見えてくるのではと思います。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2018/12/18 14:36 https://markezine.jp/article/detail/29949

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