※本記事は、2018年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』36号に掲載したものです。
デジタル系とマス系で広告主の間に温度差
ダイキン工業株式会社 総務部 広告宣伝グループ長 部長 片山義丈(かたやま・よしたけ)氏
1988年ダイキン工業に入社。総務部宣伝課に配属後、1996年に広報部にて広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームを仕かける。企業ブランド構築、メディアでの商品広告、媒体購入、全社WEB統括を担当。
――昨年から今年にかけて、アドベリフィケーション(以下、アドベリ)について一般ビジネス媒体でも報道がされるようになっています。この状況をどのようにご覧になっていますか?
NHKなどで特集が組まれると、広告業界の間では皆が問題視しているように受け取られるかもしれませんが、実はまだ“世の中ごと”にはまったくなっていないと思います。10月に行われたアドテック東京で、アドフラウドに関するパネルディスカッションに登壇しましたが、残念ながら他のセッションと比較すると来場者が多いとは言えませんでした。
おそらく、MarkeZineの読者のようなデジタル系の方は、皆さん喫緊の問題として認識されていると思います。私はデジタルもマスも両方見ていますが、デジタル系の広告主の会合などに行くと、当然のように話が上がります。一方、マス広告のみ統括している方が出席するような会合だと、まったくと言っていいほど意識されていない。この温度差が、広告価値毀損の問題の根深いところだと感じています。
――そうなんですね……。MarkeZineではデジタル活用を軸としたマーケティングを中心に追っているので、そのような温度差は想像していませんでした。
広告主というくくりで捉えると、それが現状ですね。やはり、インターネット広告は伸びているとは言いながらも、ずっとマス広告を主戦場にマーケティングをしてきた広告主は、どうしてもいまだにマス広告の部署のほうが、声が大きい傾向にあります。その意味では、広告主全体で見ると、まだ問題自体の認知と啓蒙が必要な段階にあると感じています。